今月のKその14
記事作成日:2017/09/18 執筆:加藤英宝
今月のK。
「年内に(2017年)、ヴィンテージデビューする。」
の宣言通り、
先日のCardshop Serraのヴィンテージ大会でデビュー。
有言実行の男である。
デッキの内容。
-クリーチャー13枚-
4《ファイレクシアン・ドレッドノート/Phyrexian Dreadnought》
4《エルドラージのミミック/Eldrazi Mimic》
2《静翼のグリフ/Hushwing Gryff》
2《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
1《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》
-インスタント19枚-
4《もみ消し/Stifle》
4《意志の力/Force of Will》
3《精神的つまづき/Mental Misstep》
2《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
1《誤った指図/Misdirection》
1《渦まく知識/Brainstorm》
1《神秘の教示者/Mystical Tutor》
1《時を越えた探索/Dig Through Time》
1《吸血の教示者/Vampiric Tutor》
1《Ancestral Recall》
-ソーサリー6枚-
1《天秤/Balance》
1《宝船の巡航/Treasure Cruise》
1《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
1《思案/Ponder》
1《悪魔の教示者/Demonic Tutor》
1《Time Walk》
-エンチャント1枚-
1《石のような静寂/Stony Silence》
-プレインズウォーカー1枚-
1《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》
-土地20枚-
3《Tundra》
2《Underground Sea》
3《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
3《汚染された三角州/Polluted Delta》
2《島/Island》
1《平地/Plains》
1《沼/Swamp》
4《不毛の大地/Wasteland》
1《露天鉱床/Strip Mine》
-サイド15枚-
2《翻弄する魔道士/Meddling Mage》
2《思考囲い/Thoughtseize》
1《解呪/Disenchant》
1《水流破/Hydroblast》
1《無効/Annul》
1《外科的摘出/Surgical Extraction》
1《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
1《石のような静寂/Stony Silence》
1《毒の濁流/Toxic Deluge》
1《悪魔の布告/Diabolic Edict》
1《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1《夜の戦慄/Dread of Night》
1《侵襲手術/Invasive Surgery》
——————————
彼は今回のヴィンテージデビューにあたり、
《Ancestral Recall》
《Time Walk》
の2枚を購入。
初のパワー9購入だったそうだ。
「高い買い物だとは思ったが、
ヴィンテージデビューするのに何も買わないのもつまらない。
清水の舞台から飛び降りる気持ちで決断。」
とコメント。
モックスシリーズよりこの2枚を使ってみたかったそうだ。
そしてKらしく、
いや、もはやトレードマークとさえ言えるドレッドノート。
ヴィンテージデビューもドレッドノートは欠かせないのだろう。
1戦目:茶単
ヴィンテージならではのデッキ、
ヴィンテージの代表的なデッキとも言えるアーティファクト単。
ここ数年で1枚制限を食らってしまったカードは数種に及ぶが、
それでもなお環境トップに食い込む力のあるデッキ。
ただし、ヴィンテージデッキの中でもかなりお金のかかるデッキで、フルで作れる人は多くない。
Kのヴィンテージデビューはこの茶単の洗礼を受けた。
Kは《不毛の大地》で《Mishra’s Workshop》を壊す、
《天秤》でリセットをかける等善戦はしたものの、
やはり展開力の差はどうにもならず。
《天秤》ではアーティファクトを潰す事が出来ず、
マナアーティファクトが残ってしまい、
《天秤》後の展開が後手にまわってしまったようだ。
加えて《もみ消し》+《ファイレクシアン・ドレッドノート》をするにも
《抵抗の宝球/Sphere of Resistance》で釘を刺されて、
思うように動けずに2本とも取られてKの負け。
2戦目:青赤
レガシーでも見られる、
《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》や《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》で攻めるデッキ。
1本目はお互い様子見のような感じだったが、
《Library of Alexandria》でアドバンテージ差をつけられ、
ちまちまと殴られてKの負け。
2本目は相手の《思案》を《精神的つまづき》で叩き潰す等して、
何も出来なくなったところを《ファイレクシアン・ドレッドノート》が蹂躙。
3本目はKの撃った《Ancestral Recall》がカウンターされ、
逆に相手の撃った《Ancestral Recall》は通ってしまい、
そのアドバンテージ差が勝負の分かれ目となり、Kの負け。
3戦目:親和
1本目は親和の展開力に押し切られる。
2本目は大展開されるも、《剣を鍬に》で捌きつつ
《エルドラージのミミック》2体と《ファイレクシアン・ドレッドノート》を並べ、
2枚目の《ファイレクシアン・ドレッドノート》をプレイして、
《エルドラージのミミック》が12/12に化けて、36パンチに成功して勝ち。
3本目は残りライフ2まで追い込まれるが、
《剣を鍬に》+《瞬唱の魔道士》で耐えきり、
《瞬唱の魔道士》2体でそのまま殴りきって勝ち。
最終戦績:1勝2敗。
勝ち越しはできなかったものの、
初のヴィンテージという事もあってか、
レガシー大会以上に楽しそうなKだった。
大会が終わった後にサイドボードを店主が見て、
店主「《ハーキルの召還術/Hurkyl’s Recall》は不採用?」
K「勿論考えたんだが、アーティーファクトは《石のような静寂》で対応可能なのと、
自分のドレッドノートが戻っちゃう可能性があるって考えて最終的に抜けた。」
店主「《石のような静寂》だと『常に能力を発揮するアーティファクト』が止まらない。
それにハーキルは『対象のプレイヤーのアーティファクト全部戻す』だよ。」
K「え?」
店主「うん。対象のプレイヤー。
全部戻すのは《再建/Rebuild》だよ。」
K「そうか、俺の勘違いによるミスだったなぁ。」
というイージーミスも。
正確な言い方では上記の店主の言い方でも、
百点満点ではないので、
誤解が無いようにハーキルのテキストを載せておこう。
《Hurkyl’s Recall/ハーキルの召還術》
コスト:1青
インスタント
プレイヤー1人を対象とする。
そのプレイヤーがオーナーであるすべてのアーティファクトを、そのプレイヤーの手札に戻す。
レア
このカードの特殊なところは、
「対象となったプレイヤーがオーナーであるアーティファクトを全て戻す。」
というところ。
注意すべきはコントロールではなくてオーナー。
ヴィンテージでありえそうな一例では、
自分が《荒廃鋼の巨像/Blightsteel Colossus》を出した。
対戦相手が《ダク・フェイデン/Dack Fayden》で《荒廃鋼の巨像》のコントロールを奪った。
この時に《ハーキルの召還術》を対戦相手を対象に撃ったら、
《荒廃鋼の巨像》は手札に戻らない。
自分を対象に撃てば《荒廃鋼の巨像》は戻る。
もちろん自分がコントロールしていて、かつ自分がオーナーのアーティファクトも戻る。
気をつけないとこのミスだけで負ける事もある。
《ダク・フェイデン》はヴィンテージで使われるカードなので、
この点は知っておかないと危ない。
しかも《ダク・フェイデン》を使っている場合でもミスをする事もある。
自分が《ダク・フェイデン》で相手のアーティファクトを奪い、
自分が《ハーキルの召還術》を撃って、対戦相手を対象にした場合だ。
その奪ったアーティファクトが戻ってしまうので、
奪った意味がなくなってしまう事もある。
カードのテキストはよく読んで使わないとワンミスが敗北へ一直線という事も。
さて、お話をKのほうへ戻そう。
大会終了の後に、いつもの如く数人で食事とお酒。
食事の最中では、
K「今日は電車の中でお酒飲まずに来たんだよね。」
友人「Kさん今日は酒飲まなかったから勝てなかったんじゃないですか?」
K「今日はヴィンテだし、真面目に行かなきゃいけないと思って電車の中でも飲まなかったんだ。」
店主「飲んでも飲まなくても変わらない無いくせに(笑)」
K「だまれ。」
K「それにしても《Mishra’s Workshop》と《Library of Alexandria》まじ糞だわ。
あれ禁止だろ、禁止!あと今日は当たってないけど《Bazaar of Baghdad》も!」
店主「それ、自分が持っていないカードだから糞だと言っているんじゃ?」
K「当たり前だろ!」
と、いつもの画像を使いながらも、
ここまで堂々と言い切ると、すがすがしささえ覚える。
そんなヴィンテージデビューを果たしたKから、
ヴィンテージをまだやった事無い人へのメッセージ。
店主個人としてはデビューしてくれた事も嬉しかったが、
こんなメッセージをくれた事も嬉しかった。
K「ヴィンテージやレガシーはカード資産の問題などで、
どうしても参入に踏み切れない人の気持ちはとてもわかる。
けれどもまず1回やってみて欲しい。
やってみて面白い(負けて悔しいからリベンジしたい)と感じたらそのままやればいいし、
合わない・無理だと感じたらやらなければいい。
まずはやってみて欲しい!
そのくらいヴィンテージもレガシーも面白い!
自分は今日、
ヴィンテージをやって良かった!と思えた。」
とのこと。
実際に、今回の大会でパワー9を1枚も持っていない人もいた。
また、大会終了後に聞いてみたら、
パワー9を全て1枚ずつ
《Mishra’s Workshop》4枚
《Bazaar of Baghdad》4枚
《Library of Alexandria》
《Time Vault》
《The Tabernacle at Pendrell Vale》
これを全て持っている人はいなかった。
どんなデッキでも組めるという人はヴィンテージプレイヤーでもほとんどいない。
多くの人が無いなら無いなりでヴィンテージをプレイしている。
誰もが高額カードを持ってどんなデッキでも組めるわけではないので、
まだヴィンテージをやった事がない人も、
気持ちを軽くしてヴィンテージの世界に飛び込んでみよう。
ではまた。