Disruptive Student/問題児
記事作成日:2017/08/14 執筆:加藤英宝
今回のお話は店主が経験した、
ショップでのある出来事。
題して《問題児/Disruptive Student》。
《Disruptive Student/問題児》
コスト:2青
クリーチャー 人間(Human) ウィザード(Wizard)
(T):呪文1つを対象とし、それをそれのコントローラーが(1)を支払わないかぎり、打ち消す。
1/1
コモン
ウルザズ・サーガのコモンにある、
3マナ1/1の生物。
タップ能力は《魔力の乱れ/Force Spike》をするだけ。
これだけなら可愛いのだが、
今回のお話に出てくる《問題児》は全然可愛くない。
ある日、当店に大きな注文がきた。
その注文には《Black Lotus》が含まれていたと言えば、
だいたいの人はその注文の大きさを理解してくれるだろう。
その注文はクレジットカードで決済されており、
クレジットカードの決済に失敗していた。
しかもこのお客様、
同住所だが違う名前で2度注文をしており、
両方ともクレジットカードの決済に失敗していた。
この状況から、
常識的な判断では、
・2度注文するのだから冷やかしではない。
・2度の注文の内容が違うので2回目はただの追加注文と思われる。
・クレジットカードで決済するのだからキャンセルの意思はない。
こういった時、当然の事ながら、
当店では
「クレジットカードの決済に失敗しているので、
別の手段のお支払方法またはクレジットカードの確認をしてください。」
といった旨を伝えている。
今回の場合は2回の注文が同住所なので、
同梱発送かどうかも聞くつもりもあった。
が、
メールを送ったものの返事も来ない。
一体どういう状況なのだろうとスタッフが不思議に思い、
店主のほうへお話を持ってきた。
スタッフへは、
「わかった、この件は自分が調べるから、
ちょっと待ってて。」
と伝え、
この件を少々調べる事にした。
調べてみた結果、
なかなかに恐ろしいお話だった。
簡潔に話してしまえば、
「親のクレジットカードを勝手に使った息子」
だった。
連絡がついたのも親御さんのほうで、
注文した本人には連絡がつかず。
注文の名前が違っていたのも、
自分の名前と母親の名前の両方での注文だった。
「クレジットカードの名前と注文者の名前が違っていたら、
もしかしたらクレジットカードが通らないかもしれない。」
なんて事を考えての二段階注文だった可能性もある。
この息子さんの年齢が20歳未満であったのなら、
仕方ないと思えただろう。
が、
現実は息子さんは20以上の人だった。
驚くお話はそれだけではない。
息子さんが無職なのかと思いきや、
定職に就いているのだと言う。
定職についていたらお金の大切さくらいわかりそうなものだが、
どうもそういう人では無かったらしい。
息子さんの年齢と状況を理解した途端に、
店主の頭の中に《問題児》という単語が浮かんだ。
親御さんは《ひどい憔悴/Crippling Fatigue》のご様子だったが。
《問題児》に《ひどい憔悴》撃つと倒せるよ!
などと冗談を言えるような状況では無かった。
聞けば、
・当店に注文する前に既に他のオンラインショップで使い込み。
・一度注意をしたもののクレジットカード番号を控えておいたらしく、
それで当店に注文をした。
・親のクレジットカードだけではなく、
祖父のクレジットカードまで使い込み。
・父親の時計を勝手に質屋に入れる。
と相当な《問題児》だった。
時折、ネットのニュースやお話で、
親のクレジットカードで携帯ゲームに課金…といった話を聞く事はあったが、
こんな形で目の当たりにする事になるとは想像もしなかった。
まして、額も額だ。
携帯ゲームの課金額でも、
そう簡単に数十万円にはならない。
おおむねは6桁の被害だ。
しかし、
《Black Lotus》の価値を知る人ならだいたいの注文額も見当がつくだろう。
注文の全容と合計額は伏せておくものの、
《Black Lotus》以外も注文していたので額はかなりの数字になった。
この親御さんもとても困っている様子だった。
結局この親御さんとだけお話をして、
大半の商品をキャンセルするという形に。
このような高額決済のケースは稀だろうが、
これはクレジットカードを持つ人なら、
誰にでも起き得る被害だ。
単純にクレジットカードを落として紛失した時など、
誰でもクレジットカードを使えてしまう恐れがある。
そして、
インターネットのお買い物では、
こういった注文の決済についてキャンセルが出来ない事が多い。
特に、
・商品に消費期限があるもの
・商品を開封してしまったもの
・決済からかなりの時間が経過している。
といった状況は高確率で返品、キャンセルが出来ない。
MTGのプレイヤー層は年々上がっていて、
昔は下は小学生、上は40歳程度だったが、
今は上は60歳を超えてもプレイヤーがいる。
単純に、
昔、小学生や中学生だったプレイヤーが大人になり、
継続、または復帰している状態で、
平均年齢が上がったのだと考えられる。
クレジットカードはとても便利な決済方法で、
今の世の中では20歳以上なら誰でも持てるという程に普及している。
昔は小学生や中学生だったMTGプレイヤーも、
大人になってクレジットカードを持った人が沢山いるはずだ。
携帯電話とクレジットカード、
この2つだけで大半のものが購入出来る時代だけに、
クレジットカードを持つ人はこういう事にならないように気をつけてほしい。
自身のクレジットカードの安全を保つには、
・毎月の明細は必ずチェック。
・紛失時には即クレジットカード会社に連絡。
・一度でも不正使用をされた場合は、
番号を控えられている恐れがあるので、必ず番号を変えて再発行手続きをとる。
・家の外で紛失し、その後に発見された場合も再発行を考える。
といった事で可能な限り防ぐ事が望ましい。
見知らぬ誰かにクレジットカードを使われて、
パワー9のような高額商品を決済されてしまったら洒落では済まされない。
誰かを《問題児》にしないために、
自分が《問題児》にならないために、
お金とクレジットカードの管理はしっかりしておこう。
なんだか全然MTGのカードの話題ではなかったけれども、
今回はこのへんで。
ではまた。