Jeweled Amulet
記事作成日:2017/06/05 執筆:加藤英宝
今回のお題はアイスエイジの不思議な宝石の護符。
《Jeweled Amulet》
コスト:0
アーティファクト
(1),(T):Jeweled Amuletの上に蓄積(charge)カウンターを1個置く。
この起動コストとして支払ったマナのタイプを記録しておく。
この能力は、Jeweled Amuletの上に蓄積カウンターが置かれていない場合にのみ起動できる。
(T),Jeweled Amuletから蓄積カウンターを1個取り除く:
あなたのマナ・プールに、最後に記録されたタイプのマナ1点を加える。
アンコモン
アイスエイジのアンコモンで、
他に類似の効果も無い変わったカード。
「支払ったマナのタイプを記録しておく」
などという記述は非常に珍しい。
(このカード以外では、タイプと量を記録する《Ice Cauldron》くらいしか無い)
これだけ読むとわかりにくい人もいるかもしれない。
記述は「マナのタイプ」としか書かれていないので、
色マナに言及していない分だけわかりにくい人もいるだろう。
簡単な説明にすると、
「マナを払ってタップして蓄積カウンターを置く。
蓄積カウンターを置いた時に払ったマナの色を記録しておく。
(無色マナの場合は無色を記録する)
タップして蓄積カウンターを1個取り除いて、
その記録したマナが1つ出せる。」
と覚えておけばよし。
「1マナだけ払ったマナをチャージしておける。」
ということ。
「マナのタイプ」という表現の場合は無色マナを含み、
「マナの色」という表現の場合は無色マナを含まないことに注意。
この細かな違いを知らない人は案外多い。
無理やり類似というならモックス全種が類似と言えなくはない。
モックスシリーズと同じくマナを出す0マナのアーティファクトではあるが、
マナが出せる条件は基本的には2ターンに1回。
少なくとも《Jeweled Amulet》を出したターンにはマナが出せない事が多い。
モックスシリーズに比べるとなかなかにのんびり屋さんだ。
《Jeweled Amulet》はアイスエイジにしか存在しないので、
当然2017年の時点では日本語版は存在しない。
この《Jeweled Amulet》は昨今のEDHではかなり必須に近いカード。
日本語版が存在しないという事は、
EDHプレイヤーでもこのカードを知らない人がいるはずだ。
《The Abyss》や《Moat》のように強力なレアカードと違って、
このカードはアンコモンであり、
今までトーナメントシーンで目立った事の無いカードである。
MTG歴が相当長い店主だが、
《Jeweled Amulet》をトーナメントで置かれた事は一度もないし、
置いた事も一度もない。
EDHという遊び方でのみ使っている、使われている1枚だ。
どうしてこのカードがEDHで必須に近いカードなのかわからない人もいるだろう。
このカードの挙動を考えてみると案外わかりやすい。
1ターン目に《Jeweled Amulet》が手札にあったとする。
他にはセットランドくらいしかやる事がないとする。
そうすると当然の事ながら、
《Jeweled Amulet》に蓄積カウンターを置くという選択になる。
2ターン目にはセットランドから3マナのカードまでプレイ出来る。
2ターン目に土地2枚から印鑑などの2マナのマナアーティファクトを置いた場合なら、
(《Jeweled Amulet》の蓄積カウンターを使わない場合)
3ターン目にはセットランドから5マナへのアクセスまで可能。
(3枚の土地+2マナのマナアーティファクト+《Jeweled Amulet》で5マナ。)
もしジェネラルが3マナである場合、
このカード(と、アンタップインの土地2枚)が初手にあれば、
2ターン目にジェネラルを唱えられる。
《野生の心、セルヴァラ/Selvala, Heart of the Wilds》が1ターン目にマナエルフを置き、
2ターン目にジェネラルを唱える動きを狙うのと同じ。
緑のマナクリーチャーを用いずとも、
《太陽の指輪/Sol Ring》などと共に、
ジェネラル高速展開の一翼を担うことができる。
一応で書いておく程度のお話だが、
2ターン目に《Jeweled Amulet》を引き、
その2ターン目に印鑑やタップインでない2マナのマナアーティファクトを出した場合、
(例えば、《友なる石/Fellwar Stone》や《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》)
そのマナアーティファクトからのマナで蓄積カウンターを置けば、
3ターン目に5マナへアクセスの条件を満たせる。
この動きがEDHで弱いと思うのなら、
それはちょっと考え直したほうがいい。
と言えるくらいの動きだろう。
また、《Jeweled Amulet》は当然、
「最後に記録されたタイプのマナ」が出るので、
指定コストが厳しいカードのプレイにも一役買ってくれる。
例えば、
手札にあるカードの指定コストが青青青だったとして、
場には青マナが出る土地が2枚しかない時、
この《Jeweled Amulet》を青マナで起動すれば、
次のターンには青青青を確保出来る。
遅れはとるものの、
「撃てないで負けるよりはマシ。」
「なんとか色事故を改善。」
になるのである。
指定コストの多さはジェネラルにも結構ある。
例としては、
《火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind》
《暴動の長、ラクドス/Rakdos, Lord of Riots》
《幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council》
《ニコル・ボーラス/Nicol Bolas》
などだ。
こういった指定コストが多めのジェネラルの場合は、
案外とこういう1枚のおかげで指定コストが支払えるようになる事もある。
特にジェネラルには、
倒されたら再度プレイし直し可能という一面があるため、
追加の2マナの払いを含めても、
こうしたマナアーティファクトの存在は軽視出来ない。
この1ターン目にあった場合に動ける事、
特定マナの支払いのための動き、
これだけの役目のカードのマナコストが0なのだから、十分に優秀なカードだ。
このカードがもし1マナだったら優秀とは呼べなかったかもしれない。
そしてオマケ程度の追記ではあるが、
《Jeweled Amulet》に蓄積カウンターがあり、
《Jeweled Amulet》は使わずに他のマナを全て使ってターンエンド。
この時に自分が、
《呪文貫き/Spell Pierce》
《自然の要求/Nature’s Claim》
《流刑への道/Path to Exile》
《赤霊破/Red Elemental Blast》
などの1マナカードを握っていたらどうだろう?
これは《Jeweled Amulet》を使った事のある人しかわからないが、
「いざという時は《Jeweled Amulet》からマナ出してこれ撃てる。」
という安心感はかなり大きい。
状況を選ぶ事はあるとはいえ、
かゆい所に手が届く事もある。
いざという時は動けるとわかったうえで、
残りのマナをフルで使えるという一面は十分な強さだ。
それに、現在存在するモックスのうち、
EDHで使えるのはたったの3種。
残り6種は禁止である。
5種と思った人、《Jack-in-the-Mox》を忘れていますぞ。
モックスと名がつくだけなら、
《Mox Lotus》もあるけれども、
こちらは0マナではなく15マナなので話題の外。
どっちにしてもアングルードとアンヒンジドなので話題の外なのだけれども。
モックスシリーズに比べてのんびり屋さんと書いたものの、
EDHで使えるモックスは3種しかない事を考慮すれば、
この《Jeweled Amulet》は十分に採用に値するカードになる。
ありがたい事にどこにもマナシンボルも書いていないので、
《Jeweled Amulet》は色も選ばず使える。
どんな色のデッキでも採用可能の0マナのマナアーティファクトは非常に優秀だ。
基本の使用では2ターンに一度しかマナが出ないが、
それでも十分に活躍の場はある。
ついでに《オパールのモックス/Mox Opal》の金属術にも一役買う。
アイスエイジの時代ではEDHも無く、
ルールとしては親和や即席も無かったので、
それほどの活躍を見る事は出来なかったが、
今はそうではない。
親和や即席としてなら蓄積カウンターも関係なく0マナというだけで役に立つ。
EDHはこういうカードに突然に光が当たるので面白い。
余談にはなるが、
《Jeweled Amulet》の絵は、
モックスシリーズの
《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》
《Mox Pearl》
《Mox Sapphire》
《Mox Jet》
《Mox Ruby》
《Mox Emerald》
そして《Jack-in-the-Mox》までもを描く、
Dan Frazierが描いている。
この観点からであれば、
由緒正しい?モックスの類似や互換カードである。
なお、蓄積カウンターを置く時の起動条件が
「Jeweled Amuletの上に蓄積カウンターが置かれていない場合にのみ起動」
である事に注意。
1つでも置かれていたら起動出来ないという事は、
その蓄積カウンター(とマナのタイプの記録)を使わないと、
新しいマナのタイプを記録出来ない。
やろうと思えばというか、
EDHでは起きる事もあるので覚えておくと良いのは、
《通電式キー/Voltaic Key》との組み合わせ。
まず1マナ突っ込んで《Jeweled Amulet》を起動、
対応して《通電式キー》を起動して《Jeweled Amulet》をアンタップ。
そして《Jeweled Amulet》をさらに1マナで起動。
どちらの起動時でも、
「Jeweled Amuletの上に蓄積カウンターが置かれていない」
という起動条件を満たしているので、
このアクションを行うと、
蓄積カウンターが2個乗る。
この2個の蓄積カウンターのマナのタイプの記録は、
起動したマナの色が違っていたとしても、
最後に処理された方のマナのタイプが記録される。
上記の場合だと先に起動した方が後に処理されるので、
先に起動した時のマナのタイプを記録する。
マナのタイプは2つ記録する事はない。
この方法を使うと蓄積カウンターを2つにする事が出来る。
マナを出す際には2回とも「最後に記録されたタイプのマナ」が出る。
《法務官の声、アトラクサ/Atraxa, Praetors’ Voice》などで蓄積カウンターを増やした場合も、
「最後に記録されたタイプのマナ」が出る。
特に《法務官の声、アトラクサ》は相性が良く、
蓄積カウンターを自分のターンエンドごとに増やせるので、
《法務官の声、アトラクサ》が生きている限り、
《Jeweled Amulet》は毎ターンマナを出す事も出来るようになる。
(蓄積カウンターが0の時は増殖で増やせないので注意。)
《通電式キー》と《Jeweled Amulet》、
両方を採用しているデッキならば覚えておいて損はない。
EDHを始めてまだ間もない人、
EDHのデッキの速度アップをはかりたい人、
このカードを採用していないのであれば、
一度は使ってみていただきたい1枚である。
デッキの生物の大半がエルフの人は入れなくても問題はない。
どちらかと言えばマナ加速をアーティファクトに頼るタイプならば、
このカードは真っ先に採用と言ってもいいほどだ。
この《Jeweled Amulet》、
当店の価格で現在500円しない。
お試しに使うにも悪くないお値段だと思うがいかがだろう。
ではまた。