押入れに眠るお宝たち

2017年4月にヤフーオークションで、

「断捨離の為、片づけをしています。
息子が引っ越しして残して行った物ですが、
昔のカードなので傷、臭い、折れなどがある物もあるようです。
ですが私が客観的に見て美品だと思います。
この物に対して私は疎いので難しい質問などされてもお答え出来ないのでご了承ください。
ノークレームノーリターンでお願いします。」

という触れ込みで、
開始価格1000円で《Black Lotus》を含む強力カードが出品された。
この驚きの価格と状況から、
瞬く間にネットで話題となり、
ニュースにまで取り上げられる事態に発展。
下記は終了時のオークション画像。
yahuoku1


最終的には、
「入札された方には大変申し訳ない事を致しましたが、
私自身そんなに価値がある物と知らず出品してしまいました。
先ほど息子から連絡が入り怒鳴られました。
家族崩壊寸前で今回の出品は取り辞めとさせて頂きます。
お騒がせしてしまい皆様にはガッカリさせてしまったと反省しています。
本日、息子がカードを取りに来ると言っておりました。
色々ご教示して頂きありがとうございました。」

という形で出品は取り下げられた。
下記は終了時の出品者のコメントの画像。
yahuoku2

画像だけでは完全判別はつかないとは前提しておくけれども、
どうもこの出品少々怪しい。
出品時の画像からしても怪しい。

yahuoku3

この画像。
写真の撮り方の問題なのかもしれないが、
本物かどうかがとても怪しい。

そしてオークションタイトル:★昔のカード色々★である。

出品者は
「この物に対して私は疎いので難しい質問などされてもお答え出来ない」
と言っていながら、
どうしてそれが「昔のカード」だとわかるのだろうか。
加えて、
「昔のカードなので傷、臭い、折れなどがある物もあるようです。」
とも書いている。
MTGに詳しい人でも「臭い」なんてわざわざ書かない事が多い。
さらに高額カードを随分とわかりやすい配置で写真を撮っている。
本当に価値を知らなかったのだろうか。

極めつけは
断捨離で場所もとらないたった13枚のカードを処分するだろうか。
たった13枚のカードではちょっとしたケースにしまうだけで十分である。
怪しいのはこの13枚という数字である。
Black Lotus
Ancestral Recall
Time Walk
Timetwister
の超高額カード4枚と、そうでないカード9枚。
これら超高額カードが本物である場合、
普通は他のカードを持っているはずでこれで全部であるとは思えない。
息子が引っ越しの際に他のカードを持って行ったとしても、
この13枚だけが実家に残るのは不自然である。
(正確にはこの高額カードが残るのは不自然。)

こう考えると偽物カードでの詐欺も疑われるところではある。
が、
出品を取り下げた事から本物であった可能性もある。
もっとも、あまりに話題が大きくなりすぎて、
出品者は詐欺がバレる恐れを考えての取り下げも考えられるが。

ひとまず本物であったとして話を進めよう。
単純な推測程度の話ではあるが、

・息子が《Black Lotus》を所有している。
・親が勝手に出品。

という事から、
この被害の未遂に遭った息子さんは《Black Lotus》を買える経済力がある年齢だろう。
それはおおむね大学生以上と考えれば、
この息子さんの年齢は23以上ではないだろうか。
もっと言えば、
「息子が引っ越しして残して行った」
と言っているのだから、
親元を離れて生活をする環境にある人だという事だ。
学生時に親と同居していて、
その年齢時に《Black Lotus》を入手出来たとは考えにくい。
自身の経済力で購入したとなれば、
社会人になってからいきなりという事もそれほどないだろう。
そうなると息子さんの年齢は25~30歳、
それ以上という事も考えられる。
仮にこの数字が的外れでないのなら、
そしてこの親が18歳で結婚しているという早婚であったとしても、
低くても41歳以上であり50歳を超えている可能性もある。
つまり、高確率でこの親の年齢は店主よりも上だ。
店主よりも上の年齢でこんな事もわからないとは恥ずかしい。
断捨離という言葉の意味をしっかりと知らないのは仕方ないとしても、
これは単純に常識や道徳心が無い。
全くこの出品者はろくでもない人間である。
断捨離などとよくも言ったものである。

断捨離とは、

ヨガの行法である
・断行
・捨行
・離行
からくるもので、

・断
入ってくるいらない物を断つ。
自身の物欲を抑えるという意味でもある。

・捨
自分の所有している不要な物に見切りをつけて捨てる。

・離
多くのものへの執着から離れ、気持ちを切り替える。

といった意味である。

間違っても

「自分以外の誰かの所有しているものを勝手に売り払う行為」

は断捨離にはならない。
それは窃盗と呼ばれる事はあっても、
断捨離と呼ばれる事はない。
こういう馬鹿でどうしようもない人間が、
言葉の意味も理解せずに断捨離と称して、
他人の資産を勝手に処分する事は許される行為ではない。
家庭崩壊寸前になって当然である。
寸前で済んだだけマシだとさえ言えるだろう。

さて、
そんな断捨離も理解していない人(もしくは詐欺まがいの人)の事は置いておくとして、
このニュースが日本中を飛び交ってから、
Cardshop Serraに買取を申し込むお客様の中に、

「あのヤフオクのニュースを見て、
 しまってあるカードを思い出して、
 Cardshop Serraさんに買取をお願いしました。」

といったコメントも複数いただいた。
こんなニュースからこういった展開になるとは想像しておらず、
こんな事もあるのだなと思った出来事だった。
ネットのニュースの影響力の凄さを知った瞬間だった。

買取を依頼してくださったお客様の品には、

・PSA鑑定にかけたくなる程の《Ancestral Recall
・Legendsコンプリート
・アライアンス未開封ボックス

といったお宝も。
中には、
「MTGにかけたお金よりもかなり大きなお金で買い取ってもらえた。」
というお客様も。
こういった方々は1993年から2003年あたりの期間にプレイと引退をしている事が多い。
引退してから15年以上が経過している人もいる。

MTGは1993年に発売しているので、
今年で24年になるわけだ。
15年近く前にMTGを引退しているとなると、
MTGがまだまだ黎明期と呼ばれる時代に活躍されていた方々だ。
プレイしていた時間よりも、
引退してからの時間のほうが長くなっている。
それだけの時間が経つと価値も大幅に変化している。

買取のお客様と直接話す際には、
こういった昔話に花を咲かせる事もある。
おおむねデュアルランドやパワー9の値段に驚かれるお客様が多いが、
かなり驚かれるものは、

古えの墳墓/Ancient Tomb
不毛の大地/Wasteland

というテンペストの二大アンコモンの価格。
テンペストのセット内で最も出世した2枚だ。
レアカードでは、

スリヴァーの女王/Sliver Queen
裏切り者の都/City of Traitors
ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond

の3つで驚くお客様が多い。
スリヴァーの女王》は残りの2種に比べてそれほど高くないのだが、
「え?あの5色のカードってそんなに人気あるんですか?」
という一言は結構頻繁に聞ける言葉だ。
「スリヴァーは今も昔も大好きな人は多く、
 昔に比べて多種多様のスリヴァーが出ている中、
 女王様は一切の再録をされていないから、
 ストロングホールドにあるだけなんですよ。
 そして女王様の人気も健在です。」
と説明するとわかっていただける。

価格が下がった方で驚かれるものでは、

蝕み/Undermine
吸収/Absorb
ウルザの激怒/Urza’s Rage

というインベイジョンのレア。
発売当時はトップ3だったこのカード達も今やなかなかに寂しいお値段だ。

その他の品では未開封品の買取で驚かれる方もいる。
「シングルカードの価格を見てもほとんどのカードがダメダメなのに、
 どうして未開封品はこんなに高くつくんですか?」
と質問される事もある。
これに対する回答では、
「パックが未開封状態で残っている事が珍しいのです。
 多くのプレイヤーはパックがあったら開けてしまいますから。
 そして、昔と今で違う事があります。
 昔は個人で動画配信なんてほとんど無かった時代でした。
 今は携帯電話1つで誰でも動画配信可能な時代です。
 その手軽さから『パック開封動画』を配信する人がいます。
 中には気合の入った方がいて、
 初版から現在までの全てのパックを1つずつ開封する人もいます。
 それを見たユーザーが自分もやってみたいと言い出します。
 開封そのものだけで満足する方、
 自分も動画配信をした方、
 当たりを引くまでやめられない方、
 未開封パックもコレクションする方、
 十人十色です。
 こうなるとシングルカードの価格と関係ないものになってしまいます。
 『パックを開封する権利にお金を払う』に近いですね。
 北海道で乗馬体験、アメリカにナイアガラの滝を見に行くといった経験と同じで、
 『パックを開封する経験』というものにお金を払う形だと考えればわかりやすいでしょうか。」
といった内容で説明している。

こういったお話をした後は、

「時代は変わるんですねぇ。」

の一言がお客様からよく出てくる。

時代は変わり、
カードの需要と供給も変わっても、
変わらずにMTGが大好きなCardshop Serraの店主がおります。
このこらむを読む方の大半は現役のプレイヤーだとは思うものの、
既にMTG引退された方へ。
MTGのカードはもしかしたら押入れの奥でお宝に変化しているかもしれません。
かけたお金の何倍かになる事もあります。
気になった方はCardshop Serraにご相談くださいませ。
お品にもよりますが、出張買取をする事もあります。
ご相談はお気軽に。

ではまた。