レガシー禁止改訂2017年4月
記事作成日:2017/05/03 執筆:加藤英宝
2017年4月24日付けで、
レガシーで1枚のカードが禁止リスト入りした。
《師範の占い独楽/Sensei’s Divining Top》
がモダン禁止に続いてレガシーでも使えないカードとなった。
《Sensei’s Divining Top/師範の占い独楽》
コスト:1
アーティファクト
(1):あなたのライブラリーのカードを上から3枚見る。その後それらを望む順番で戻す。
(T):カードを1枚引き、その後師範の占い独楽をオーナーのライブラリーの一番上に置く。
アンコモン
数あるアーティファクトのドローやライブラリーのトップをいじる手段では、
言うまでもなく最強の1枚だった。
そしてこの改訂により、
「奇跡も相殺も無いんだよ。」
とどこかの魔法少女が言ったとか言わないとか。
この言葉の通り、
奇跡コンは
・奇跡を任意で起こしにくくなった。
・相殺独楽という対戦相手への封殺手段を失った。
この2点で崩壊したと言っても過言ではない。
ヴィンテージでの制限発表で
《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
《噴出/Gush》
の2枚が制限になってもメンターデッキは崩壊までは行かないが、
奇跡コンはそうはいかない。
《師範の占い独楽》が主軸のデッキである以上、
デッキの7割が機能しなくなってしまった。
これにより、
《天使への願い/Entreat the Angels》
《終末/Terminus》
《相殺/Counterbalance》
の3枚の立場が相当に危うくなった。
《相殺》「ついに《師範の占い独楽》さん捕まってしもうた。」
《天使への願い》「わしらもうダメかもしれんな。」
《終末》「スタン落ちしてやっと得た居場所やったのにな。」
《相殺》「あんたらまだええですやん。
ジェイスさんに頼めば奇跡出せますやん。
《渦まく知識/Brainstorm》でも奇跡出せますやん。
わし、《師範の占い独楽》さん無くなったら、
床屋さんの青と赤のクルクルくらい意味無いで。」
(あのクルクルはサインポールと言うらしい。)
《天使への願い》「《相殺》さんは悪い事し過ぎたんとちゃいますか?」
《終末》「二人で組んだら1マナ呪文封殺はアカンかったんでしょうなあ。」
《相殺》「わし、これからどうやって生きていけば・・・。」
と、3人は店主の脳内でお話しておりました。
《師範の占い独楽》は奇跡コンが最も多く使われる場所だったが、
無色で1マナである事から、
他のデッキでもかなり使われたアーティファクトだった。
奇跡コン殺しだけが目的ではないとは思うが、
このカードの禁止は環境に大きく影響する改訂だろう。
それにしてもレガシーというのも不思議な環境だ。
《渦まく知識/Brainstorm》
《思案/Ponder》
《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》
《ライオンの瞳のダイアモンド/Lion’s Eye Diamond》
《水蓮の花びら/Lotus Petal》
《虚空の杯/Chalice of the Void》
《磁石のゴーレム/Lodestone Golem》
こういったヴィンテージで1枚制限されているカード達は、
レガシーでは4枚投入可能になっていて、
デッキ次第では4枚使われているのが当たり前のカードもある。
大昔のヴィンテージとレガシーはとてもシンプルで、
「ヴィンテージで制限されているカードは、
レガシーでは全て禁止。」
というだけのルールだった。
今はヴィンテージとレガシーは明確に違うものになっていて、
これはヴィンテージとレガシーの完全な差別化が狙いだったのだろう。
その差別化のためとはいえ、
「ヴィンテージよりもレガシーのほうが殺伐としていて、
バランスが悪いんじゃないか?」
という声も少なくない。
特にその声が大きいのは《ライオンの瞳のダイアモンド》だ。
手札を全て捨てるという大きなリスクはあれども、
3マナが簡単に出せてしまう事は大きい。
使われ方としてはコンボがほとんどである事からも、
あまり健全とは言えない1枚だろう。
一方、ヴィンテージで1枚制限でもなんでもないカードで、
レガシーで「これ禁止にしろ!」という声があるカードでは、
が出て来る事が多い。
使っている人「これを禁止するなんてとんでもない!」
使われる人「これ禁止でいいよ。」
という感じでもあるが、
どちらの気持ちもわかる。
明らかにこのカードはオーバーパワーだ。
コストは黒か緑のどちらかでプレイ出来て、
1マナで1/2、
能力は3つもあるときていて、
デメリットは一切無し。
柔軟性の高さがあまりにもある。
店主個人としては、
へたに涙が出るような弱いカードをリリースされるよりマシなので、
このくらいの生物は許容してあげたいところだ。
別な意味で禁止を願うのは両面カードのほうだ。
裏側がMTGでないカードはどうしても好きになれない。
レガシーで出てくる《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》が困りものだ。
当然の事ながら変身時に、
スリーブから出してひっくり返している人が多い。
たまに
変身前:《秘密を掘り下げる者》通常版をデッキに入れてプレイ。
変身後:《秘密を掘り下げる者》FOIL版をダイス入れなどの別の場所から、
裏返した状態で別のスリーブ(混乱しないようにスリーブを変えている)で、
《秘密を掘り下げる者》通常版の上に重ねてプレイ。
(これだとスリーブも違うのでシャッフル時にも混ぜてしまう事もないし、
通常版とFOIL版と分けているのでまず間違わない。)
というなかなか考えている人もいる。
下記の画像参照。
が、どちらにしても、
本来の「トーナメントでカードをプレイする」という事からすれば、
・スリーブから出して入れ替える。
・わざわざ別の品を用意する。
などはとてもとても無駄な行動だ。
大会中にプレイヤーがとてもめんどくさそうにこの裏返す行為と、
元に戻す行為をしているのを見ているだけで、
「こんなカードどうして作ってしまったんだろうなぁ・・・。」
とため息が出てしまう。
《師範の占い独楽》に向かって
「このカード使うとトーナメント長引くから禁止」
などと言うのだから、
「裏返す手間と元に戻す手間を考えたら、
それもトーナメントが長引くのだから、
両面カードなんか作るな。
さもなくば禁止してしまえ。」
と声を大にして言ってやりたいところである。
(MTG Wikiにも《師範の占い独楽》の明確な禁止理由として、
「定期的な起動によってマッチの進行およびトーナメントが停滞し、
さらにシャッフル手段の多用によって遅延が悪化すること」
が原因と書いてある。)
さて、両面カードの事はともかく、
《師範の占い独楽》が禁止され、
奇跡コンがトップメタから離れ、
さらにはアモンケットが発売された。
今後のレガシーの環境がどう変化していくか楽しみだ。
まだレガシーをプレイした事がない人は、
ある意味で1つのチャンスかもしれない。
入手が面倒で、しかも高額カードの部類でもある《師範の占い独楽》が禁止され、
環境が大きく変わるタイミングなのだ。
レガシー未プレイの人はこれを機にレガシーに飛び込んでみてはどうだろう。
ではまた。