EDH禁止改訂2017年4月
記事作成日:2017/04/27 執筆:加藤英宝
2017年4月24日付けで、
EDHで1枚のカードが禁止から解除され、
別の1枚のカードが禁止された。
普段のCardshop Serraのこらむでは、
おおむね時事ネタをもとにおふざけたこらむで、
EDHの禁止カードの話題を書くが、
今回は店主の意見やお客様からのお言葉を文章に。
まずは禁止解除されたカードはこちら。
《Protean Hulk/変幻の大男》
コスト:5緑緑
クリーチャー ビースト(Beast)
変幻の大男が死亡したとき、
あなたのライブラリーから点数で見たマナ・コストの合計が6以下になるように
クリーチャー・カードを望む枚数探し、それらを戦場に出す。
その後あなたのライブラリーを切り直す。
6/6
レア
死亡誘発の中でもなかなかに変わった1枚。
ヴィンテージの世界で、
《閃光/Flash》というカードで一瞬だけ場に出して、
死亡誘発させて勝つデッキがあり、
その影響力を恐れてEDHの初期から禁止だったカード。
近い位置づけでは《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》。
どちらもそれほど脅威的ではないのに、
先入観のようなもので禁止されたと言っても過言ではないカードたち。
何年もの時間を経てやっと解禁である。
使う?と言われたら、
案外と使われない可能性の方がありそうだ。
《夜の星、黒瘴》も解禁されてから、
使っている人をほとんど見ない。
これを禁止にした人は勝負を見る目が無いのだろう。
だいたい7マナもするような生物である。
《閃光》以外では無理やり出して死亡誘発を狙うには、
《ネクロマンシー/Necromancy》を瞬速プレイ、
《騙し討ち/Sneak Attack》でプレイ、
などの限られた方法である。
7マナといえば、《歯と爪/Tooth and Nail》と同じコストだ。
《歯と爪》は双呪するのが基本ではある。
そうなると9マナになるが、
《変幻の大男》のコストに2を足しただけで好きな生物が2体出る。
こちらのほうが危ない事が多い。
2体出るだけで全員を倒せる事も多々ある。
かといって《歯と爪》が禁止になる事もないだろう。
《変幻の大男》は単色のまま使うなら、
《よりよい品物/Greater Good》
《ファイレクシアの供犠台/Phyrexian Altar》
《異界の進化/Eldritch Evolution》
などの生贄エンジンを使う事になる。
2色以上なら色々な手段があるが、
このカードのために生贄エンジンを搭載する構築は本末転倒なので、
全体として生物生贄に意味のある構成なら活躍するだろう。
《変幻の大男》の話はこのくらいにして、
今回で禁止されたカードの方へ話題を移そう。
今回の改訂で禁止されたカードは、この1枚。
《Leovold, Emissary of Trest/トレストの使者、レオヴォルド》
コスト:黒緑青
伝説のクリーチャー エルフ(Elf) アドバイザー(Advisor)
各ターン、各対戦相手はそれぞれカードを2枚以上引くことができない。
あなたかあなたがコントロールするパーマネントが、
対戦相手がコントロールする呪文か能力の対象になるたび、
あなたはカードを1枚引いてもよい。
3/3
神話レア
コンスピラシー2のトップレアのこの御方。
登場と同時にレガシーのBUGデッキに採用され、
値段も一気に5000円超え。
気になる禁止理由は、
「このカードでロック状態になった後、
ゲームが終了するまでに時間がかかるから。」
というもの。
《上位の空民、エラヨウ/Erayo, Soratami Ascendant》と同じ扱いだ。
「ほぼ何も出来ない状態になった後、
負けるわけでもないが、多分勝てない状況で時間がだらだら過ぎるの嫌。」
という禁止理由はわからないではない。
だが、多くのEDHプレイヤーは
「そうじゃない。もっと禁止すべきものがあるだろ。」
というのが本音だろう。
《トレストの使者、レオヴォルド》は決して弱いカードではないが、
そんな3色カードを禁止するよりも他に禁止してほしいカードは多々ある。
だが、そういったカードは何故か禁止にはならない。
不思議なものだ。
ちなみに、
EDHの禁止や解除を決めている人達はこう言っているらしい。
・《むかつき/Ad Nauseam》
こういう使ったらつまんないカードは、
みんな自粛して使わないでしょ?
だからボク達は禁止しないよ。
・《生き埋め/Buried Alive》
こういう使ったらつまんないカードは、
みんな自粛して使わないでしょ?
だからボク達は禁止しないよ。
・《隠遁ドルイド/Hermit Druid》
こういう使ったらつまんないカードは、
みんな自粛して使わないでしょ?
だからボク達は禁止しないよ。
ルール決めている人達は一度鎖のついた病棟に行くほうが良い。
二度と出てこなくても構わないから。
嫌われるジェネラルの筆頭である
・《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》
・《悟った達人、ナーセット/Narset, Enlightened Master》
の2種が禁止にならない理由も似たようなものなのだろう。
EDHプレイヤーとこの2種のお話をするたびに
「この2種は禁止でいい。」
「見たら絶対に殺す。」
「あまり使う人も多くないけど、見たくないジェネラル。」
「戦い方のわかっていない人が1人いると、この2種に瞬殺されるのが嫌。」
「《夜の星、黒瘴》の100倍は脅威。」
「ジェネラルではなくデッキの中にいても強い。」
「これらが禁止されずに、
《クルフィックスの預言者/Prophet of Kruphix》が禁止。
全く意味がわからん。」
といった意見を聞く。
特に一番最後の意見は気持ちがよくわかる。
《クルフィックスの預言者》がこの2種より脅威という事は無いだろう。
MTGにおいて、危ないカードというものが2つある。
1つは
「コストに見合わない枚数のカードを引くカード。」
もう1つは
「コストを踏み倒して何かが出来るカード。」
だ。
前者は《トレストの密偵長、エドリック》
後者は《悟った達人、ナーセット》
である。
EDHよりもレガシーの世界で説明するとわかりやすい。
コストに見合わない枚数のカードを引くカードと言えば、
レガシーで禁止された兇悪コモンである、
《宝船の巡航/Treasure Cruise》がわかりやすい。
コストを踏み倒して何かが出来るカードは、
2つの意味があるが、
コストを踏み倒すカードの筆頭は《意志の力/Force of Will》で、
コストを踏み倒して何かをするカードの筆頭は《実物提示教育/Show and Tell》だ。
どちらもレガシー一線級の兇悪カードである。
では《クルフィックスの預言者》は?と言われると、
後者の「コストを踏み倒して何かが出来るカード」に属する事は否めない。
相手のターンに土地と生物が全てアンタップするのだから。
だが、ジェネラルに出来るわけでもなく、
2色で5マナの生物だ。
どう考えても
《トレストの密偵長、エドリック》
《悟った達人、ナーセット》
の2種はジェネラルに指定出来る事を含めて脅威だ。
店主個人の意見としても、
他の多くの方々の意見としても、
「なにも《クルフィックスの預言者》を禁止しなくても・・・。」
ではないだろうか。
このカードで最も損害を被ったジェネラルは、
《精霊の魂、アニマー/Animar, Soul of Elements》で間違いない。
それ以外のジェネラルではそれほど見る事もないカードだった。
時折、
《スリヴァーの女王/Sliver Queen》
《スリヴァーの首領/Sliver Overlord》
あたりをジェネラルにしているデッキに採用されているが、
MTGの多くのスリヴァー大好きっ子は、
デッキの中の生物はスリヴァーだけで埋め尽くすスタイルが好みだ。
この生物を採用しない人も多い。
こうやって考えてみたり、
お客様の意見を聞いてみると、
EDHの禁止や解除を決めている人達とは大きく意見は変わる。
お国柄というやつも多少はあるのだろうが、
それでも使えるカードプールは同じなのだから、
脅威は同じはずである。
EDHの禁止や解除を決めている人達には、
もう少し見る目を養って欲しいものである。
追伸、そろそろ《合同勝利/Coalition Victory》を許してあげて下さい。
呪文解決時に
「あなたが、すべての基本土地タイプの土地をコントロールしており、
すべての色のクリーチャーをコントロールしている場合、
あなたはこのゲームに勝利する。」
この条件の8マナソーサリーが本当に脅威だと思っているんでしょうか。
この呪文にレスポンスして除去1枚でダメになる8マナ呪文は、
《トレストの密偵長、エドリック》
《悟った達人、ナーセット》
よりも悪だというのでしょうか。
このカード撃って勝利したら、
「すげえなアンタ。よく決めたよ。」
で終わりだと思います。
ではまた。