ヴィンテージのススメ2017
記事作成日:2017/04/05 執筆:加藤英宝
MTGが最初に世界に出たのは1993年。
現在は2017年。
トレーディングカードゲームの王様、在位24年目である。
沢山の紆余曲折がありつつも、
世界最高のカードゲームの立ち位置は変わらない。
世界最高を誇るカードゲームだからこそ、
願わくば二度と両面カードだけは出さないでもらいたいものだが。
裏側にMTGのロゴが無いカードはあまりにも悲しい。
その世界最高のカードゲームの中で、
最高の遊び方はヴィンテージ。
スタンダード、モダン、レガシー、EDH、
その他のローカルな遊び方もいくつかあるが、
最上位に位置するものはヴィンテージ。
最上位と言ってもこれは価格のお話ではない。
価格も最上位なのは間違いないのだけれども、
あくまでもMTGのプレイにおいての最高の遊び方である。
どうしてヴィンテージが最上位なのか。
それはシンプルではあるけれども、
ほぼ全てのカードが最低1枚は使えるから。
レガシーも大半のカードが使える。
しかしMTGの世界で最高のカードたちを使う事は出来ない。
「ヴィンテージは敷居が高い。」
などと言う人もいる。
これは2つの意味で間違っている。
1つはただの日本語としての間違い。
敷居が高いとは
「不義理をしたり相手に迷惑をかけたため、
その人の家の敷居をまたげないと考えている状態。」
というものであり、これでは意味が通じない。
誤用している人が言いたい事としては、
「レベルが違いすぎて入れない。」
「ハードルが高い。」
といった表現が適切だ。
もう1つの、本来の意味のほうである
「ヴィンテージはハードルが高い。」
が間違っているという方に話を移そう。
こちらは少々長くなる。
まず、今から10年前、20年前。
これを読んでいる人はMTGを始めていなかった人もいる。
既に始めていた人もいる。
年齢とMTGに出会うタイミングはそれぞれだ。
20年前に始めたからといって、
今でもレガシーを満足に出来ない人もいる。
「作れないデッキのほうが少ない。」
と言える人もいる。
今から10年前である2007年頃、
レガシーをやる人はまだ少なかった。
デュアルランドもまだまだ安かった。
何せ《Volcanic Island》や《Tundra》が1万円どころか、
5000円以下で買える頃だったのだ。
この10年でレガシーをやる人はとても増えた。
開催される事も無かったレガシーのGPも開催されるようになった。
これは、
10年以内にMTGを始め、そのままレガシーデビューした人もいれば、
MTG歴10年以上からやっとレガシーデビューした人もいるという事。
MTG歴10年以内の人からは、
「なんでもっと早くMTGを始めなかったんだろう。」
「もっと早くMTGに出会えていれば!」
という声を、
MTG歴10年以上の人からは、
「なんでもっと早くレガシーやらなかったんだろう。」
「あの時に○○にお金を使わずにデュアルランド買っとけば良かった。」
という声を沢山聞いてきた。
「タイムマシンさえあれば!」
という声はどちらのMTG歴の人からも聞いた。
そもそもタイムマシンがあったら株かギャンブルのほうが早い。
などと言うのは野暮というものだろう。
このお客様の「もっと早くMTGに出会っていれば!」だけはなかなかに難しい。
WotC社がもっと販売促進のための活動をしていれば、
もしかしたらもっと早く出会えた可能性もある、とは言えるけれども、
これをWotCの責任だ!と言う事はできない。
多くの場合において、自身についてまわる失敗は、
どこかでの自分の選択ミスが原因である。
今レガシーをやっていない人が何年かしたら、
「もっと早くレガシーやれば良かった。」
と言うかもしれない。
今レガシーをやっている人が何年かしたら、
「もっと早くヴィンテージやれば良かった。」
と言うかもしれない。
いつどこで爆発的にヴィンテージプレイヤーが増えるかなんてわからない。
レガシーがそうだったのだから。
多くの人にとって最初のうちは、
「レガシーなんて・・・」
と言っていたはずなのだ。
自分の主観、偏見でハードルを高くせず、
ストレートに飛び込んでいっていれば、
もっと早くに楽しめていたかもしれないのだ。
少しだけ話がそれてしまうがこんなお話もどうだろう。
誰が最初に言ったのか調べても不明とされている言葉がある。
TVCMでも使われた事があるので、
知っている人もいるはずだ。
TVCMで使われた方。
一日楽しむなら本を読みなさい。
一年楽しむなら種を蒔きなさい。
一生楽しむなら家を建てなさい。
TVCMのもととなっているのだが、
どこの国の言葉であるかさえ不明の下記の言葉。
一時間幸せになりたいなら、酒を飲みなさい。
三日間幸せになりたいなら、結婚しなさい。
一週間幸せになりたいなら、牛or豚を飼いなさいor食べなさい。(諸説あり)
一生幸せになりたいなら、釣りをしなさい。
中国語の言葉だとされている意見もあるが、
中国の学者の中で日本でも有名な方が調べたものの、
「この言葉は中国に無い。」
と言っている。
いつ生まれたのかわからない不思議な言葉。
後者のほうだけ簡単に説明すると、
酒:酔いが覚めるのは早く、楽しめる時間は限られている。
結婚:楽しいのは3日程度だよ。(偏見のようにも見えるが。)
豚or牛:肉として食べられてもせいぜいもって一週間の楽しみだ。
(育てるのなら一週間の楽しみではないので、
この説は「食べなさい」のほうが濃厚。)
釣り:釣りは奥が深く、また食べ物が手に入る手段でもある。
魚を釣る楽しみだけではない。
この奥深い趣味こそ一生の価値がある。
と、こんな解釈なのだろう。
これ言い出した人は結婚に嫌な思い出でもあるのだろうか。
そこはわからないが、
TVCMのほうでも中国の言葉?のほうでも、
言いたい事はどちらも同じだ。
「今だけの快楽に溺れずに先を見据えて、
未来を楽しめる選択をしなさい。」
である。
MTGに置き換えるなら、
一日楽しむならグランプリに行きなさい。
一年楽しむならスタンダードをやりなさい。
一生楽しむならヴィンテージをやりなさい。
というところだろうか。
一応説明をしておこう。
グランプリは現在多くの人が集まるイベントではある。
一日のお祭りとしては良い。
しかし経済的でない参加費と交通費と滞在費は、
一生を楽しむための散財として決して正しくない。
そのお金を一年の楽しみに変換するならば、
スタンダードのトップレアを買ったほうが良い。
しかしスタンダードにはスタンダード落ちという日が来る。
そこでかけたお金は無駄とは言わないが、
買ったカードの価値は大きく変動しやすい。
そのお金を一生の楽しみに変換するならば、
スタンダード落ちを心配しないレガシーまたはEDH、
そしてその先にあるヴィンテージに手を出すほうが良い。
考えてもみてほしい。
グランプリに行った事のある人。
本戦参加費、イベント参加費ともに年々とんでもないほど高額になっており、
その参加費、宿泊費、食費、交通費は完全にかけ捨てである。
その出費額が一万円未満になる人は極めて少数だ。
多くの人はかなりのお金をかけてグランプリの会場に行くはずであり、
それは決して楽な出費ではないはずだ。
その出費と同額を自分の資産になるカードに費やすほうが、
長い時間の楽しみに変わる事だけは間違いないのである。
誤解無いように言っておくがグランプリに行く事を否定しているわけではない。
あくまで経済的な観点と長期的な楽しみという観点から、
資産となるものを買う選択のほうを推奨しているだけである。
前述の
「あの時に○○にお金を使わずにデュアルランド買っとけば良かった。」
というお客様の嘆きはまさにこういう事が原因になりがちだ。
グランプリに遊びに行くお金で《Tundra》や《Taiga》は買えてしまうのだから。
さて、これを読んでいる人は、
一日でMTGから離れていくだろうか?
一年でMTGから離れていくだろうか?
一生やめないかもと思っているだろうか?
一生やめないかもと思っているのなら、
ヴィンテージの世界を知らないまま死ぬなんてもったいない。
一生やめないかもと思っているほどMTGが好きなあなたが、
本当にヴィンテージを知らないままでいいだろうか。
ヴィンテージという世界は、
あなたの大好きなMTGの、
一番最初のカードたちが使える世界であり、
あなたの大好きなMTGの、
最高のカードたちが使える世界。
大切な事は今よりも未来を楽しむ選択。
店主はそのためにヴィンテージを推す。
ヴィンテージの世界へのご決断の出来た方は、
是非とも当店へご相談を。
ではまた。