よわよわジェネラル20選その1。
記事作成日:2017/01/04 執筆:加藤英宝
2017年最初のこらむはお客様のリクエストにお応え。
2016年の終わり頃に、
お客様より下記のようなリクエストが。
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「よく、『使えるジェネラル』の話題はよく聞きますが、
その逆の『最弱ジェネラル』ベスト10くらいをセラさんの
考えでいいのでコラムにしていただきたいなと思いました。
少し前のコラムでミラージュ限定ジェネラルの
デッキ紹介がありましたが、もっと弱いジェネラルがいると
思います。」
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言われてみれば確かに。
強いジェネラルの話題はどこに言っても出る。
弱いジェネラルの話題は滅多に出ない。
これは10種と言わず20種選んでみたくなった。
さらにこのお客様は
「バニラクリーチャーは除く」
という条件も書いてあった。
バニラクリーチャーとはMTG用語で
「何の能力も持たない生物」
という意味。
伝説生物でも
《トバイアス・アンドリオン/Tobias Andrion》
《Jedit Ojanen》
《Lady Orca》
《The Lady of the Mountain》
《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》
などの何種類かが存在する。
無能力生物となると、
「なんも考えずに装備品つけてパンチ」
が基本となってしまうゆえ、
最弱20選に入れても面白味がない。
最弱ジェネラルを話題にするにあたり、
下記の条件で伝説生物達を絞り込んでみよう。
・無能力生物(バニラ)は除外。
・神河物語の明神5種を全て除外。
(5種全て手札から唱えられた時のみ能力発揮のため。)
・そのジェネラルの能力を活かすように組もうとすると、
デッキの構築が難しい生物であること。
・三国志の伝説生物は除外。
(ポータルセットである事から一部が明らかに弱いため。)
・共闘(Partner)持ちは除外。
このくらいの条件で良いだろうか。
三国志の伝説のクリーチャー達は言う程弱くないものもいるのだが、
もとがポータルセットなため、
全体的に力不足になっている事が前提となっている。
そこからわざわざ選び出してこき下ろすのは可哀想というもの。
共闘持ちについては、
単体での強さを見るには適切でないので、
これまた除外。
また、絶対基準と言えるわけではないので、
これまた判定の難しいところだが、
「能力を活かさなくても、
バニラ扱いで殴れば済みそうな生物」
はある程度除外したい。
一例では、
《悪忌の撃ち手、イシイシ/Ishi-Ishi, Akki Crackshot》
《夜の華、切苦/Kiku, Night’s Flower》
《サマイトの癒し手オアリム/Orim, Samite Healer》
《Ragnar》
など。
コストが低く、デメリットが無いので、
「なんも考えずに装備品つけてパンチ」
という考えに帰結しそうなものはなるべく避ける。
このタイプを選ぶ際は、
「それでもコストが重くて使いにくい」
という条件で。
それから、基準の1つとして、
色の固有の強さやカードプール云々にはあまりこだわらず、
「ジェネラルを活かそうとすると難しい」
という事を可能な限り念頭に置いて弱いジェネラルを選定。
例えば、
とても弱い緑単色のジェネラルがいるとしても、
(例:ジェネラルが《生網明神/Myojin of Life’s Web》)
中身を全部エルフデッキにしておけば、
《背教の主導者、エズーリ/Ezuri, Renegade Leader》
《野生の心、セルヴァラ/Selvala, Heart of the Wilds》
などのジェネラルを活躍させられるエルフデッキには遠く及ばないが、
ただの
「ジェネラルはカラーマーカー。99枚のただのエルフデッキ。」
にはなる。
ジェネラルがいない分だけ弱いのは間違いないが、
へたにそのジェネラルを活かそうとするデッキよりも、
ジェネラル無視のエルフデッキのほうが強い。
そんな構築はあまりにも味気ない。
ジェネラルにするからには、
そのジェネラルありきのデッキにして、
それでもなお強く作る事の難しさのあるものを、
弱いジェネラルと考えてこらむを書きたい。
それから、
最弱ジェネラルのランキングというわけではない。
おおむね最弱3人は確定と考えているが、
残りは甲乙付け難いといったカード達が並ぶし、
選ばれなかったものにも弱いものはいくつかある。
それを踏まえていただき、
このこらむをのんべんだらりと読んでいただければ幸いである。
ではでは、
よわよわな伝説の野郎どもをご紹介。
並びは単純にカードのセット順。
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●よわよわジェネラル20選第一号。
まずは伝説生物が初出のセット、Legendsから。
《Kei Takahashi/ケイ・タカハシ》
コスト:2緑白
伝説のクリーチャー 人間(Human) クレリック(Cleric)
(T):クリーチャー1体を対象とする。このターン、
それに与えられる次のダメージを2点軽減する。
2/2
レア
これを使うなら《艦長シッセイ/Captain Sisay》使うと言われて終わる。
コストが同じ、パワータフネスも同じで、
クリーチャータイプの人間まで同じ。
タップ能力を持っているところも同じ。
タップ能力が月とスッポン。
EDHで軽減のみの能力でしかも生物限定なうえに2点だけでは、
一切戦闘能力がないのと同意義。
日本中の高橋さんでもこれをジェネラルにする人は少ないだろう。
このカードをデザインした人は罰として、
高橋刑。
全国の高橋さんに
「こんなカード作ってごめんなさい」
と謝罪してまわるという刑。
MTGでは太古の昔からの伝統刑なので、
みんなも知っている事だろう。
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●よわよわジェネラル20選第二号。
コボルドの大王様。
《Rohgahh of Kher Keep》
コスト:2黒黒赤赤
伝説のクリーチャー コボルド(Kobold)
あなたのアップキープの開始時に、あなたは(赤)(赤)(赤)を支払ってもよい。
そうしなかった場合、Rohgahh of Kher Keepと名前が《Kobolds of Kher Keep》である
すべてのクリーチャーをタップし、
その後、いずれかの対戦相手はそれらのコントロールを得る。
あなたがコントロールする、
名前が《Kobolds of Kher Keep》であるクリーチャーは+2/+2の修整を受ける。
5/5
レア
こいつを選定する際に
《Tuknir Deathlock》
《Boris Devilboon》
の2つも相当弱いなと思いながら、最終的にこれを選んだ。
理由はマナの問題。
アップキープの赤赤赤が問題。
自身のコストでは赤赤黒黒の要求でも、
アップキープに赤赤赤を要求されるという事は、
実質は1黒黒赤赤赤が出ないとダメと言っているようなもの。
間違ってアーティファクトマナでプレイして、
自分のターンが帰ってくるまでに赤マナアーティファクトを潰されるともうダメ。
コントロールが「いずれかの対戦相手」に移るのだ。
で、その対戦相手がアップキープに赤赤赤を払えない場合、
また「いずれかの対戦相手」に移るのである。
その時にオーナーのところにコントロールを渡してくれるだろうか?
普通ならオーナーや赤赤赤を払えるプレイヤーには渡さないはずだ。
つまり、一度でも赤赤赤を払えなくなると、
生殺しの状態になりかねない。
諦めて自分で除去してプレイしなおしという、
ディスアドバンテージをしなければならなくなる。
EDHならではの弱さである。
コボルドの親分だから強く設定しなかったのかもしれないが、
この弱さは悲しいものがある。
このカードをデザインした人は罰として、
5000メートル上空からスカイダイビング。
ただしパラシュートは開かない。
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●よわよわジェネラル20選第三号。
Legendsからの伝説生物3人目。
《Ayesha Tanaka/アーイシャ・タナカ》
コスト:白白青青
伝説のクリーチャー 人間(Human) 工匠(Artificer)
バンド
(T):アーティファクトの発生源からの起動型能力1つを対象とし、
それを、その能力のコントローラーが(白)を支払わないかぎり、打ち消す。
(マナ能力は対象にできない。)
2/2
レア
先日デッキ紹介で登場したジェネラルがここでも登場。
指定コスト4の2/2にして、
タップ能力の使いにくさが際立つ。
活かそうとするデッキを作る事は相当に難しい。
このカードを4マナ2/2バニラとして扱い、
「なんも考えずに装備品つけてパンチ」
をするしても指定コスト4は変わらない。
マナアーティファクトを展開しても、
2~4ターン目に着地不可能なんて事もある。
このあたりも弱いジェネラルに選ばれる理由だ。
このカードをデザインした人は罰として、
田中哀謝。
全国の田中さんに
「こんなカード作ってごめんなさい」
と哀しみをこめて謝罪してまわるという刑。
MTGでは太古の昔からの伝統刑なので、
みんなも知っている事だろう。
なお、気づいている人はいると思うのだが、
高橋刑も田中哀謝も、
全国をまわって謝罪をしている間に、
高橋さんや田中さんが出産や結婚や離婚によって増えるため、
増えた人にも出向いて謝らなければならないので、
一生終わる事の無い罰である。
終わらないお遍路みたいなもの。
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●よわよわジェネラル20選第四号。
お次は氷河期(Ice Age)のお寒い時代から、
お寒い生物を紹介。
《General Jarkeld》
コスト:3白
伝説のクリーチャー 人間(Human) 兵士(Soldier)
(T):攻撃しているクリーチャー2体を対象とする。
それらのブロックしているクリーチャーを交換する。
この能力は、ブロック・クリーチャー指定ステップの間にのみ起動できる。
1/2
レア
4マナにして1/2。
能力は起動したらなんだか面白そうなのだが、
戦略に組み込めるような能力ではない。
他者の攻撃とブロックに嫌がらせをするだけである。
「なんも考えずに装備品つけてパンチ」
をするなら《今田家の猟犬、勇丸》よりも下、
つまり犬以下である。
犬畜生にも劣るとはまさにこの事。
そのわりにはカード名にまでジェネラルとついている。
全然ジェネラル候補にならないのに。
Ice Ageを体現したようなお寒いジェネラルである。
このカードをデザインした人は罰として、
アラスカで白クマとバトル。
武器はフランスパン1本。
防具は葉っぱ1枚。
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●よわよわジェネラル20選第五号。
Homelandsからこの御方。
《Daughter of Autumn》
コスト:2緑緑
伝説のクリーチャー アバター(Avatar)
(白):白のクリーチャー1体を対象とする。
このターン、それに与えられる次のダメージ1点は、
代わりにDaughter of Autumnに与えられる。
2/4
アンコモン1
起動に白があるので、この生物はEDHでは白緑デッキ。
これを使うなら《艦長シッセイ》使うと言われて終わる二号。
点数で見たマナコストは4で同じ、
色も白緑で同じ、
この視点なら《艦長シッセイ》選ぶのが当然と言ったところ。
自身のタフネスは《ケイ・タカハシ》より高いが、
軽減の対象が白だけと柔軟性が無い。
どんぐりの背比べである。
このカードをデザインした人は罰として、
世界有数の活火山、イタリアのベスビオ火山登頂。
登頂後は一ヶ月間滞在。
もちろん裸足でな。
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●よわよわジェネラル20選第六号。
六だけれどロクデナシをご紹介ー。
《Hazduhr the Abbot》
コスト:3白白
伝説のクリーチャー 人間(Human) クレリック(Cleric)
(X),(T):あなたがコントロールする白のクリーチャー1体を対象とする。このターン、
それに与えられる次のダメージX点は、
代わりにHazduhr the Abbotに与えられる。
2/5
アンコモン1
《Daughter of Autumn》と同じホームランドにいる、
何故か白の生物だけ守るカード。
他のカードにもダメージ軽減系の伝説生物はあるが、
こいつより柔軟性が高いorコストが軽いため、
その類の生物は今回の最弱リストでは選定外とした。
選定外の理由の1つとして、
そのタイプの生物は起動型能力を無視して、
「なんも考えずに装備品つけてパンチ」
を基本とする事ができるから。
この《Hazduhr the Abbot》のように、
5マナで2/5ともなると、
そういう選択をするなら他にいくらでもある。
そういう軽減系バニラ同然の代表格として、
この《Hazduhr the Abbot》が選ばれた。
このカードをデザインした人は罰として、
醤油一升瓶一気飲み。
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●よわよわジェネラル20選第七号。
吸血鬼一族センギア一家からこの御方ー。
《Irini Sengir》
コスト:2黒黒
伝説のクリーチャー 吸血鬼(Vampire) ドワーフ(Dwarf)
緑のエンチャント呪文と白のエンチャント呪文は、
それを唱えるためのコストが(2)多くなる。
2/2
アンコモン3
このカードは最後まで選定を悩んだところ。
能力が対戦相手依存型なので、
根本的に能力を活かした構築が出来ない。
そして、
同じように能力が対戦相手依存型の伝説のクリーチャーには、
《鱗のヒヴィス/Hivis of the Scale》
《ラシーダ・スケイルベイン/Rashida Scalebane》
《Rashka the Slayer》
などが挙げられる。
ただ、そういったタイプの中でも特に弱そうなので、
対戦相手依存型の代表として弱いジェネラル20選に。
4マナでパワー2のバニラ扱いという弱さが決定的だった。
当然の事ながらこれをジェネラルにしている人はおろか、
吸血鬼デッキでさえこのカードを採用している人は見たことがない。
このカードをデザインした人は罰として、
ホンジュラスを毎日お散歩。
(ホンジュラス:殺人事件発生率世界一の国。
10万人あたりの殺人件数は約160人。
日本は10万人あたり1人で世界一安全。)
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●よわよわジェネラル20選第八号。
珍しい伝説の海蛇さん。
《Taniwha/タニーワ》
コスト:3青青
伝説のクリーチャー 海蛇(Serpent)
トランプル
フェイジング
(これはあなたの各アンタップ・ステップの間で
あなたがアンタップする前にフェイズ・インまたはフェイズ・アウトする。
それがフェイズ・アウトしている間、
それはそれが存在しないかのように扱う。)
あなたのアップキープの開始時に、
あなたがコントロールするすべての土地はフェイズ・アウトする。
(それらはあなたの次のアンタップ・ステップの間で
あなたがアンタップする前にフェイズ・インする。)
7/7
レア
このカードだけは断言出来る。
弱い。
何せ店主はこのカードをジェネラルにした事がある。(参照:EDHデッキ紹介その78(Taniwha/タニーワ))
自身がいる間は土地がフェイズアウトし、
土地がある間はこいつがフェイズアウト。
パワーが7もあっても2ターンに1度しか殴れないので、
実質は半分。
それでいて土地がフェイズアウトするというデメリットは、
あまりにも大きい。
無理やりに使おうとしたが相当な苦労がいる。
戦いにならないとは言わないが、
決して戦いやすい生物ではなかった。
青いというだけで強いカードプールがあるが、
この能力を活かすとなるとハードルが高過ぎる。
このカードをデザインした人は罰として、
太平洋をイカダで横断。
所持品は麦わら帽子とありったけの夢。
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●よわよわジェネラル20選第九号。
側面攻撃のおっさん。
《Telim’Tor/テリムトー》
コスト:4赤
伝説のクリーチャー 人間(Human) 騎士(Knight)
側面攻撃
テリムトーが攻撃するたび、
すべての側面攻撃を持つ攻撃しているクリーチャーはターン終了時まで+1/+1の修整を受ける。
2/2
レア
この伝説生物を活かそうとすると、
どう考えても側面攻撃を持つクリーチャーの採用しかない。
赤単で側面攻撃を持つクリーチャーはこいつを含めずに5体。
99枚中の5枚はかなりきつい。
能力で自身も攻撃時に3/3にはなるが、
だからなんだという程度。
所詮は便所紙である。
どうして便所紙?と思う人のほうが多いだろうが、
このカードは英語名がアナグラムになっていて、
並べ替えると
「Mr Toilet」(ミスタートイレット)
となる。
なので便所紙である。
なお《テリムトー》のカードをトイレットペーパーとして使うと、
多分尻が切れてカードが血で赤くなる。
あ、だからこのカード赤いのか?
実は元は白いカードだったのかもしれない。
このカードをデザインした人は罰として、
一生トイレットペーパーが紙やすり。
紙やすり最低でも40番。
(粗さの数字。40はかなりザラザラ。)
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●よわよわジェネラル20選第十号。
ここでミラージュブロックまでが終了。
《Maraxus of Keld/ケルドのマラクザス》
コスト:4赤赤
伝説のクリーチャー 人間(Human) 戦士(Warrior)
ケルドのマラクザスのパワーとタフネスはそれぞれ、
あなたがコントロールするアンタップ状態の
アーティファクトとクリーチャーと土地の数に等しい。
*/*
レア
他の紹介しているジェネラル候補達に比べたら、
少々はマシに見えるクリーチャーなのだが、
完全タップアウトで死亡、
他に一切能力無しはかなりきつい。
とにかくアクションを制限されがちなのだ。
考えてみるとわかる。
例えば《ケルドのマラクザス》が6/6状態だったとする。
攻撃した途端に自身がタップ状態になるので5/5に落ちる。
対戦相手が3/3のクリーチャーでブロックしたとする。
戦闘が終了すると5/5(ダメージ3)になる。
ここから間違って土地2枚タップしたら、
このおばかちゃんは死ぬ。
という具合に、とても使いにくい。
こいつを出してしまったが最後、
中途半端に行動制限をくらうのはあまりにも不毛。
わざわざジェネラルにしたい人は稀有だろう。
このカードをデザインした人は罰として、
サハラ砂漠横断。
所持品はピッケル、虫あみ、砥石だけ。
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ひとまず10選終了。
残り10選は次のこらむにて。
ではまた。