ヴィンテージデッキ紹介その8。
記事作成日:2016/12/16 執筆:加藤英宝
先日Cardshop Serraで開催されたヴィンテージの優勝デッキを紹介。
CAR SHOPと呼ばれる茶単のデッキ。
-クリーチャー19枚-
4《ファイレクシアの破棄者/Phyrexian Revoker》
4《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》
4《高速警備車/Fleetwheel Cruiser》
3《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》
2《銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem》
1《トリスケリオン/Triskelion》
1《磁石のゴーレム/Lodestone Golem》
-アーティファクト23枚-
4《抵抗の宝球/Sphere of Resistance》
4《アメジストのとげ/Thorn of Amethyst》
2《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》
2《強制の門/Coercive Portal》
1《Black Lotus》
1《Mox Emerald》
1《Mox Jet》
1《Mox Pearl》
1《Mox Ruby》
1《Mox Sapphire》
1《オパールのモックス/Mox Opal》
1《魔力の墓所/Mana Crypt》
1《太陽の指輪/Sol Ring》
1《虚空の杯/Chalice of the Void》
1《魔力の櫃/Mana Vault》
-土地18枚-
4《Mishra’s Workshop》
4《ミシュラの工廠/Mishra’s Factory》
4《不毛の大地/Wasteland》
2《裏切り者の都/City of Traitors》
1《古えの墳墓/Ancient Tomb》
1《露天鉱床/Strip Mine》
1《トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy》
1《発明博覧会/Inventors’ Fair》
-サイド15枚-
4《魔女封じの宝珠/Witchbane Orb》
3《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》
3《道化の帽子/Jester’s Cap》
2《真髄の針/Pithing Needle》
1《トリスケリオン/Triskelion》
1《映し身人形/Duplicant》
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《高速警備車》が突っ走るかどうかでゲームの終了速度は大きく変わる。
《高速警備車》が自宅警備車になったら負け。
このカードは非常に素晴らしく、
速攻持ち、パワーが5、トランプルあり、
戦場に出た時だけとはいえ乗組員がいなくても一度はクリーチャー化。
文句なしの性能だ。
搭乗コストも2と少なめで、
この数字は簡単にこのデッキではクリア可能。
パワー5は単純に相手のライフの四分の一を削れる性能。
《ファイレクシアの変形者》でコピーも視野に入る。
一気に殴れる時には3ターンキルもありえる優秀アタッカー。
ちなみに、《銀のゴーレム、カーン》の能力でクリーチャー化させた場合、
もちろんトランプルと速攻は持っている。
(意味があるのはほとんどの場合でトランプルだけだが。)
搭乗させて5/3にするか、
《銀のゴーレム、カーン》で4/4にするかを選ぶ事も出来る。
だいたいの場合は搭乗させてパワー5を選ぶだろうが、
誰も搭乗させずに4/4にして、
全クリーチャーで攻撃したほうが数字が高い場合もあるので、
こういった使い分けの選択肢がある事は良い事だ。
デッキリスト上は、一応生物扱いでリストに。
このデッキの特筆すべきカードは他に3つ。
メインの
《強制の門》
《発明博覧会》
サイドの
《魔女封じの宝珠》
の3つ。
《強制の門》は
《Coercive Portal/強制の門》
コスト:4
アーティファクト
議決 –あなたのアップキープの開始時に、
あなたから始めて各プレイヤーは「殺戮」または「忠誠」のいずれかに投票する。
「殺戮」がより多くの票を得た場合、強制の門を生け贄に捧げ、
すべての土地でないパーマネントを破壊する。
「忠誠」がより多くの票を得た、あるいは票が同数だった場合、
カードを1枚引く。
神話レア
わかりやすく言うとアップキープに自分だけ一方的にドロー1枚出来るアイテム。
1対1の戦いで利害一致で「殺戮」を双方が選ぶ可能性は低い。
対戦相手は勝手にしろと言わんばかりに「忠誠」しか選ばないだろう。
4マナで自分だけ《吠えたける鉱山》状態。
《Mishra’s Workshop》とマナアーティファクトから、
1ターン目に着地する事もある、茶単の頼もしいドローエンジン。
《ニンの杖/Staff of Nin》は追加でダメージを飛ばせるものの、
やはり6マナはちょっと重たい。
4マナでドローだけ加速のほうが重要視される事は多い。
コンスピラシーのカードであるがゆえに、
最初からEDH、レガシー、ヴィンテージのカードだが、
このカードはほとんどヴィンテージ専用。
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《発明博覧会》は
《Inventors’ Fair/発明博覧会》
伝説の土地
あなたのアップキープの開始時に、
あなたがアーティファクトを3つ以上コントロールしている場合、
あなたは1点のライフを得る。
(T):あなたのマナ・プールに(◇)を加える。
(4),(T),発明博覧会を生け贄に捧げる:
あなたのライブラリーからアーティファクト・カード1枚を探し、
それを公開してあなたの手札に加え、その後あなたのライブラリーを切り直す。
この能力は、あなたがアーティファクトを3つ以上コントロールしているときにのみ起動できる。
レア
ライフがもらえる能力は地味だが強い。
4マナタップ生け贄の能力こそがこのカードの真骨頂。
このデッキでは即勝ちにつながるカードを持ってくる事もあるが、
《世界のるつぼ》を持ってきた場合がなかなかに面白い。
墓地から《発明博覧会》セットでさらにサーチ可能。
毎ターン《悪魔の教示者/Demonic Tutor》状態だ。
自身の能力で《世界のるつぼ》へアクセス可能な点が大きい。
ライフがもらえて、
マナも1マナ出せて、
アーティファクトサーチ可能。
相当に優秀な1枚。
茶単デッキではほぼ《悪魔の教示者/Demonic Tutor》だが、
他のヴィンテージデッキでも使い物になる。
特に、
《Time Vault》
《通電式キー/Voltaic Key》
で無限ターンを狙う場合、
どちらのカードへもアクセス可能。
1枚仕込むだけでかなりの違いだ。
起動条件のアーティファクト3枚もヴィンテージでは難しくない。
このカードはスタンダードよりもヴィンテージこそが主戦場と言っても過言ではない。
ヴィンテージプレイヤーは黙って1枚持っておけと言いたい1枚。
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《魔女封じの宝珠》は
《Witchbane Orb/魔女封じの宝珠》
コスト:4
アーティファクト
魔女封じの宝珠が戦場に出たとき、
あなたにつけられているすべての呪い(Curse)を破壊する。
あなたは呪禁を持つ。
(あなたは、あなたの対戦相手がコントロールする、
オーラ(Aura)呪文を含む呪文や能力の対象にならない。)
レア
イニストラードのうだつのあがらない50円レア。
ヴィンテージ以外では滅多な事で採用される事もない。
ヴィンテージではこのカードはナイスサイドボード君だ。
わかりやすく使い道を箇条書きすると、
《Helm of Obedience》の対象にならない。
《ドルイドの誓い/Oath of Druids》の対象にならない。
《苦悶の触手/Tendrils of Agony》の対象にならない。
《ハーキルの召還術/Hurkyl’s Recall》の対象にならない。
大半の手札破壊を無駄カードにさせる。
といったところだろう。
このデッキでは使われて困る程の事はないが、
《魔女封じの宝珠》を置いてあると、
《トーモッドの墓所/Tormod’s Crypt》も対象に出来ない。
案外と多くのカードに刺さる1枚。
最も重要なところは《ドルイドの誓い》への対策。
コストが4であるため、
《突然の衰微/Abrupt Decay》で壊せない点も大きい。
こういった茶単のデッキは、
《Mishra’s Workshop》+マナアーティファクトで、
4マナまでのアーティファクトは1ターン目に出て来る可能性がある。
そのくらいのマナコストだと十分に実用レベル。
さらに、
《ドルイドの誓い》を先に張られても、
起動前までに《魔女封じの宝珠》を置ければOKというところも心強い。
このカードと《高速警備車》のおかげで、
《ドルイドの誓い》を使うデッキ相手に勝てる要素が増えた。
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ここ数年で茶単のデッキは
《虚空の杯》1枚制限
《磁石のゴーレム》1枚制限
と弱体化が進んでいたが、
それでもまだまだ十分な戦力を持っているし、
カラデシュで出たカードの影響もあった。
アーティファクトが主軸のカードセットが出るたびに、
なんらかのかたちでデッキに影響が出るデッキなので、
今後も色々なかたちで変化しているだろう。
そしてよほど制限されない限りは弱体化しないものと思われる。
それが茶単の魅力でもある。
ではまた。