もしも運命の日が来るのなら
記事作成日:2016/11/23 執筆:加藤英宝
今回は一風変わった話題を。
《Day of Destiny/運命の日》
コスト:3白
伝説のエンチャント
あなたがコントロールする伝説のクリーチャーは+2/+2の修整を受ける。
レア
というカードがあるが、
全くもって無関係で、
このこらむの《運命の日》とは、
「MTGに新しいセットが出なくなる日」
である。
たまたまカード名にあったので、
こらむタイトルにつけてみたが、
このカードは今後一切の内容に出てこない。
MTG黎明期のプレイヤーが、
時折話題にしてきた、
「いつMTGは滅びるか?」
という話題とは少々違うもの。
滅びたらという話は、
「なんらかの理由によって、
新しいカードセットが今後一切出なくなったらどうなる?」
というもの。
始まりがあれば終わりもあるという言葉通り、
いつなのかわからないいつか、
MTGにもいつかは終わりが来る。
もしかしたらそれは人類が滅びる日と同じかもしれない。
MTGが人類が滅びるまで残り続ける文化であるのなら、
それはそれで面白いし、
もちろんの事、願ったり叶ったりである。
もっとも人類が滅びる寸前まで店主は生きていないだろうが。
人類が滅びる瞬間やMTGが滅びる瞬間を見たい気持ちもあるが、
こればかりは叶わぬ願いというやつだろう。
さて、質問。
「新しいカードセットが出なくなったとしたら、
あなたはMTGをやめますか?」
店主はMTG中毒者(マジックジャンキー)なので、
やめないとかやめるとかいうお話ではない。
「やめられない。」
が正解である。
どっかのカードショップの従業員Sが炒飯やめられないのと一緒である。
奴はおそらく炒飯中毒。
新しいカードセットが出なくなるという事態になると、
真っ先に新しい物好きの人たちが離れていく事は容易に想像がつく。
日本人は比較的新しい物好きが多いので、
日本人はMTGから撤退する人も多そうだ。
しかし、それでもこれだけの文化に発展したものは、
そう簡単に滅びないのである。
1つ例を挙げてみよう。
「根付」(ねつけ)というものをご存知だろうか。
聞き慣れない言葉である人のほうが多い物ではないだろうか。
根付とは、
江戸時代に作られたもので、
印籠や巾着、煙草入れなどを腰の帯にさげて携帯するために、
紐の先に結わえて使用する滑り止めとして作られた小物。
と書いてもピンと来ないはず。
もっと簡単な言い方がある。
携帯電話につけるアクセサリー、
つまり、ストラップと同じ。
携帯電話のストラップの起源は根付である。
根付の一例。
江戸時代の人の着物にはポケットが無かった事もあり、
印籠や煙草入れを腰の帯のところでうまく止めるために、
紐で縛ってうまく止めるために作られたのが根付。
携帯電話のストラップの起源という事で、
言うまでもない話なのだが、
最初は機能のみのシンプルなデザインが生まれた。
それから先は手先の器用さと遊び心の日本人、
多くの職人が根付を色々なデザインで作り出し、
1つの芸術の域にまで持っていった。
この根付は海外でもコレクターがいるほどの品として、
現代まで芸術品として認知されている。
ただ、現代の人間で、
印籠や煙草入れを持ち歩き、
そこに根付をつけている人となると、
0だとは言わなくとも非常にその数は少ないだろう。
そういった意味では、
根付の本来の使用用途としては、
その役目を終えているに近い。
だが、前述のようにコレクターは現代にもいる。
根付の中でも貴重品ともなると、
数十万円の値段がつくことも。
海外オークションの大手であるeBayでも出品されている。
現代で根付は生活で需要が無くともコレクターがいて、
その根付という文化は残っている。
同じようにして、MTGが仮になんらかのかたちで滅びたとしても、
根付のようにコレクターは残るものだろうと予想出来る。
根付と大きく違う点は、
MTGは仮に滅びて100年の時間が経った時でも、
このゲームのルールというシステムが残り、
それをもとに遊ぶ事が可能であること。
根付は今はほぼ単純に芸術品としてのコレクション要素が強い。
MTGはセットが出なくなったとしても、
遊べる要素は変わらないし、
コレクション要素はそのままである。
と考えた場合、
新しいカードセットが出なくなる日が来たとしても、
MTGが滅びるとは考えにくいのではないだろうか。
江戸時代と言えば今からもう200年近く前の時代だ。
ペリーが来日したのが1853年。
この1853年はもう江戸時代末期だ。
あと数十年もすればペリー来日から200年が経つ。
(画像に深い意味はない。)
その時点で根付が作られなくなったわけではないが、
明治維新後は和服から洋服へだんだんと変化していく時代になる。
少しずつ根付の需要が下がっていった頃だろう。
そんな時代から今日まで、
この根付というアイテムは残り続けている。
あと100年したところで消滅するようなものでもないだろう。
それこそ人類が自らを滅ぼすような戦争でもしない限りは。
そういえばアメリカで、
「おじいちゃんの遺品にあった野球カードを売ったら、
全部で数千万円になった。」
というニュースもあった。
数十年前の野球カードに高額がついたというお話だ。
こういった話からも、
文化として出来上がったものはなかなか滅びないものがある。
MTGもそんな滅びにくい文化の仲間入りをしてくれるはず。
少なくともそうなってほしくて、
この仕事をしている。
こらむの冒頭にあった質問の
「新しいカードセットが出なくなったとしたら、
あなたはMTGをやめますか?」
多くの人には出来ることならやめないでほしい。
新しいセットが出なくなったとしても、
MTGは一生楽しめる趣味になるはずだ。
そして、遺書には
「Cardshop Serraの店主さんに全てのカードを渡して下さい。」
と書くのがオススメだ(笑)
ではまた。