EDH-M14ルール変更について。
記事作成日:2013/07/20 執筆:加藤英宝
M14ルール変更について。
レジェンド・ルール(プレインズウォーカールール)の変更。
「戦場に1つ」でなく、「同一コントローラーに1つ」に変更。
あなたと対戦相手は互いに同名のカードをコントロール可能。
あなたが2枚の同名のカードをコントロールした場合、
そのうち片方を選んで後は墓地行き。
このルール変更はEDHでもとても大きな影響を及ぼす事に。
まず、《クローン/Clone》系のコピー系カードは、
大半がジェネラル対策として機能しなくなった。
(これによって2013年以前に書かれたこらむで有効でない記述があります。
こらむは自分の意思で加筆の必要性がある場合や誤植を除いて、
書いた時のままにしていますので、ご了承下さい。)
とくに《幻影の像/Phantasmal Image》のように、
低コストでジェネラルを倒す事が出来たカードにとっては大打撃だ。
単純に相手のジェネラルと同能力の生物を場に出せるだけでも脅威となる事はあるが、
シンプルに対消滅が狙えたほうが使いやすかっただろう。
コピー等とは何の関係も無い、
《金粉のドレイク/Gilded Drake》だけは相変わらずジェネラル対策カードのまま。
次に、プレイヤーごとに、
同名の伝説パーマネントをコントロール出来るようになったため、
EDHでジェネラルが他のプレイヤーとかぶった場合でも、
全く問題がなくなった。
お互いにジェネラルを出し合っては対消滅するという不毛な事がなくなった。
これはジェネラルかぶりの恐れが無くなるので、
ほぼメリットと言っていいだろう。
クローン系で潰される事も無くなった事まで踏まえると、
ジェネラルそのものは全体的に強化されたと言っていいだろう。
これについては、ジェネラルという存在が、
「デッキにおける統率者、将軍である」
という意味合いを含めて威厳ある存在になったと考えれば、
悪くない変更と見る面もある。
青があまりに簡単にジェネラルを除去出来た環境からすれば、
多少調整がとれた面もあるかもしれない。
問題はプレインズウォーカー。
「対戦相手が出している《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker》に対し、
自分が《原初の狩人、ガラク/Garruk, Primal Hunter》をプレイして対消滅。」
これが出来なくなってしまった。
以前のルールでは、
《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》を出しておけば、
他の誰かが《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を出す事が無いので、
ある意味で平和、という環境だった。
このM14ルールでは、
4人戦の場合、極論中の極論では、
4人全員が《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をコントロールしている場合もある。
《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》を出しているプレイヤーも、
後から出した《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を残すと選択すればいいので、
対消滅の危険性やアドバンテージを失う危険性が一切無くなった。
それどころか、
「《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》の-1能力起動でカード1枚引きます。
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をプレイします。
《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》墓地に置きます。
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》の+0能力起動します。」
といった動きまで可能になるため、
よりアドバンテージを得やすくなった。
とにかく、
相手のプレインズウォーカーを同タイププレインズウォーカーで潰せないので、
全体的にプレインズウォーカーが生き残りやすくなった。
これは一長一短だが、
かなりゲームに影響が出る事だろう。
このM14ルール変更によって、
呪禁持ち伝説クリーチャーなどは全体として強化されている。
例えば、
《鷺群れのシガルダ/Sigarda, Host of Herons》
《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》
《霧を歩むもの、ウリル/Uril, the Miststalker》
あたりだ。
以前ならクローン系コピーカードで倒せていたが、
M14ルールでは倒せない。
シガルダにいたっては生け贄にも出来ないと書いてあるので、
倒す方法が全体破壊呪文くらいしかない。
なんらかの方法で破壊不能能力をつけたら手に負えないだろう。
また、
《無限に廻るもの、ウラモグ/Ulamog, the Infinite Gyre》
も同様で、
呪禁は無いものの破壊不能がある。
こちらも以前までならクローン系で対消滅だったが、
これが出来なくなっただけで非常に厄介になった。
呪禁がないので、こちらには
《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
《流刑への道/Path to Exile》
などの除去は効くが、破壊不能があるため、
《神の怒り/Wrath of God》や《ジョークルホープス/Jokulhaups》が効かない。
どちらも、
コピーでの対消滅が無くなったため、
対処が難しいカードになっている。
伝説の土地についても同様だ。
以前ならば同名の土地で相手の土地を叩き割る事が出来たが、
これが出来なくなった。
《ガイアの揺籃の地/Gaea’s Cradle》のように、
危険な土地が対消滅しない。
対処方法は《不毛の大地/Wasteland》や《露天鉱床/Strip Mine》のように、
昔からの対処方法のみになってしまった。
もっとも割りを食ったのは《ヴェズーヴァ/Vesuva》だろう。
どんな伝説の土地も割る事が出来たカードだが、
一切出来なくなった。
土地への対処方法はもともと限られているだけに、
このルール変更での影響は大きいだろう。
他にもM14のルール変更には色々な影響が出る。
例えば、
《大修道士、エリシュ・ノーン/Elesh Norn, Grand Cenobite》。
これを2人のプレイヤーが1枚ずつコントロールしている場合、
エリシュノーンのコントローラーである2人はクリーチャーに一切影響無し、
残りのプレイヤーは全クリーチャーに-4/-4という、
大半のクリーチャーに生存権が無さそうな状況になる。
滅多に無い状況だとは思うが、
仮にエリシュノーンをコントロールしているプレイヤーが3人いると、
残った1人は自分のクリーチャーに-6/-6される。
もしあなたがこの残った1人でエルフデッキだったら、
「そんなに僕の事が嫌いか?」という質問をした後に、
トイレに行って泣くのがベストプレイングだ。
このエリシュノーンのように、
枚数が並ぶと以前とは違った状況になるカードはいくつもある。
《トレストの密偵長、エドリック/Edric, Spymaster of Trest》
《隠れしウラブラスク/Urabrask the Hidden》
などがそうだ。
ウラブラスクの場合、
2体並ぶと全員のクリーチャーがタップ状態で出る。
ウラブラスクのコントローラーにいたっては、
速攻を持っているにもかかわらずタップ状態で出るというマヌケさ。
最後に。
M14のルール変更はEDHに限らず、
色々なレギュレーションで賛否両論ではあると思う。
過去にもルール変更された時にも同じように賛否両論だった。
EDHはレガシーやヴィンテージと同じ、
「全てのセットを使用可能」
という最高に自由な環境で、
使われるカードの多さではレガシーやヴィンテージ以上。
多くの伝説パーマネントやプレインズウォーカーが飛び交う世界だ。
それ故に、
今回のルール変更で予想もしない状況が今後に起きる事もあるだろう。
ゲームバランス上、良くなる面と悪くなる面はあるだろうが、
純粋に変化を楽しむ事が大切である。
ではまた。