PSA
今回はちょいとカードの状態そのものについて。
カードショップに限らず、色々な場所で使われるカードの状態の略称。
知っているようで知られていない事も多いかと。
これを多少なりわかるように説明していこうかと。
マジックのカードは紙で出来ているので、
当たり前のごとく擦れてボロボロになる事が多々ある。
状態を気にする人、気にしない人はさまざま。
状態を気にする人の中でも個人個人で基準はかなりずれてくるもの。
一般的に使われる状態のランクとイメージは、(カッコ内は略称)
Mint→文句無しの状態。
Near Mint(NM)→Mintほどではないが綺麗な状態。
Excelent(EX)→多少の傷や擦れアリ。
Very Good(VG)→傷や汚れ、擦れがEXより多い。
Good(GD)→傷や汚れ、擦れがかなり多い。
Poor(PR)→ひどい状態。折れ目のあるものなども。プレイドとも呼ばれる。
実は結構間違っていたりする評価である。
ネットオークションではネット間取引という事と、
一時的な取引でしかない事からトラブルを避けるために、
状態を下げて出品しているケースや、
「状態は綺麗ですが、プレイド扱いでお願いします。
ノークレーム・ノーリターンでお願いします。」
というお約束の一文を使っている人が多い。
さて、ここを読んで下さっている方々はPSAというのをご存知だろうか。
PSAというのはカードの鑑定を主にやっているアメリカの会社。
スポーツ系トレーディングカードがメインで、
マジックも鑑定取扱している有名な会社。
ここの鑑定基準は世界基準的イメージが強いものの、
日本で知られていない事が多いので、
この意外に知られていないPSA基準を、
筆者のコメント付で紹介してみようかと。
PSA鑑定のランクは学校の成績のように10段階評価。
あの成績表を見るたびに、
なんで8.5とか9.5は無いんだろう?と思っていたのだが、PSAも同じ。
10で無いものは9に、9で無いものは8にランクされてしまう厳しさ。
-Rank 10「Gem Mint」(ジェムミント)-
カード初期状態(パックから開封後そのままに近い)の光沢を保っている。
一切の汚れやシミ、傷などがあってはならない。
印刷のズレなどが完全に無い。
パーフェクトミントと呼ばれる事もある。
日本ではなじみのない呼称。
-Rank 9「Mint」(ミント)-
裏側に非常にわずかな汚れやシミ、傷があってもよい。
ただし本当に微細なものに限る。
印刷のズレ等もGem Mintに比べると極めてわずかなズレは許容される。
これらは0.1mmのレベルなので素人目ではほぼわからない。
一見Gem Mintとなんら変わりの無いもの。
パックから開封して直後で、印刷ズレや初期傷等がなければ、
おおむねPSA9かPSA10がつくと思って間違いない。
-Rank 8「Near Mint-Mint」(ニアミントミント)-
一見Mintに見える綺麗なカードだが、
細かい面で汚れ、シミ、傷などがMintクラスよりも目立つ場合。
印刷のズレに対する評価が上記に値しない場合にここにランクされる。
日本では一般的でない呼称。
ネットオークションの出品者が「ニアミント」と呼ぶものは、
このあたりにランクされる事が多い。そうでない場合は7。
-Rank 7「Near Mint」(ニアミント)-
カードの光沢が初期状態をおおむね保っている。
汚れやシミ、傷がわずかに見られる。
微細な消耗感は許容される。
日本では「Near Mint=綺麗なもの(PSAで言う8~9)」のイメージがあまりに強いが、
実際は傷がごく少量あるものがここにランクされる。
PSA7でも十分に綺麗です。
-Rank 6「Excellent-Mint」(エクセレントミント)-
カードの光沢がNear Mintほどでなくとも、一定量保たれている。
また、全体の見た目を崩さない程度の印刷上の欠点は許容される。
汚れやシミ、傷等も大きくないものであればここにランクされる。
マジックのカードで言うと、黒枠のカード部分が擦れて白くなっている部分が多少あってもOK。
日本人の感覚ではNM-より下のイメージになる状態。
PSA6でもかなり状態は良い方である事は多い。
-Rank 5「Excellnt」(エクセレント)-
カードの光沢が半分前後。
汚れ、シミ、傷、あるいは印刷上の欠点がより多く存在する。
カードの4隅がわずかに擦れている。
日本でも使われる呼称ですが、
単純に言って「そこそこボロってる」という感じ。
ノンスリーブで数回デュエルするとEXになってしまうものが多い。
EXと呼ばれた場合は「すでにぼろぼろ」というイメージ。
PSA5の場合はそれほどぼろぼろではない。
-Rank 4「Very Good-Excellent」(ベリーグッドエクセレント)-
カードの光沢感がいっそう失われているもの。
汚れ、シミ、傷が目立つもの。
若干の折れ目等があるものがここにランクされる。
4隅がわずかにまるくなっていてもよい。
これも日本ではあまり使われない呼称。
日本では「EX未満=全てプレイド」的なイメージが強い。
さすがにこのあたりのランクではPSA品でも消耗感がある。
-Rank 3「Very Good」(ベリーグッド)-
カード初期の光沢がほぼ失われている。
汚れ、シミ、傷が多く目立ち、全体として消耗感がある。
印刷のズレ、折り目があるもの。
日本では比較的使われている呼称。
海外でももちろん使われている呼称だが、
おおむね「本当にぼろぼろ」という感じ。
全然ベリーグッド(とても良い)ではない状態。
-Rank 2「Good」(グッド)-
カード初期の光沢がほぼ完全に失われている。
汚れ、シミ、傷が多く、変色しているもの等がここにランクされる。
折り目、印刷のズレもよりひどいもの。
このあたりのランクになると、
シングルカード販売では半額以下になりかねないクラス。
この数値の鑑定品そのものがあまりない。
「ただ鑑定されている」
というだけの品です。
-Rank 1「Poor」(プアー)-
光沢は完全に無く、汚れや傷、シミが相当にあり、
一部が欠けているものや折り目がひどいものがランクされる。
誰が見てもひどい状態と言えるほどのもの。
水で一度ぬれてしまったカードなどがPoorになりやすい。
破れているとここにランクされる。
逆に、そこまでひどくないとプアーと呼ばれない。
以上、10ランク。
日本で一般的に使われるランクとは少々違うものではないかと。
鑑定10ランクはパックを開封した直後のものでもつかない事さえ多々あり、
非常に希少価値が高く、高額となる。
また、7(NM)の価格を1とした場合に、
8で1.1~1.2、
9で1.3~1.7、
10では1.8~5、
ぐらいに価格が変わると考えれば良いだろうか。
(あくまで参考程度に。必ずではないので。)
5ランク以下は「鑑定するほどのもんでもない」というのは言うまでもない。
鑑定した結果として6以下がついてしまう事はある。
8のランクは単純に「鑑定料金が上乗せされたもの」的なイメージで、
9となると価格にかなり変化が生じる。
10はそう多く存在するものではないので、
相当な値がつく事が多い。
ものによっては「言い値が売値」の世界という、
骨董品や芸術品の世界に突入する。
《Black Lotus》のβ版で10がつくと本当に100万円オーバーという話も。
海外オークションで買い手がついたという話を聞いた事がある。
《Black Lotus》は例外的と言ってもいい。
値段も人気も。
マジックのカードでわざわざ鑑定にかけるほどのカードは、
やはりもともとのカードが最低5000円はするものが多い。
なにせ鑑定するにも1枚いくら、とかかるので、
みもふたも無く言って、鑑定料金より安いカードを鑑定にかける事というのは、
記念のカードやお気に入りのカード、
またはコンプリートセットのためという理由が必要になる。
そうなると、マジックのカードで鑑定にかけられるものは、
多くがパワー9、そうでなくてもレジェンド以前のカードが多い。
どうだっただろうか?
自分の持っていたカードの状態に対する価値観と同じだっただろうか?
実は、最近自分の持っているパワー9の一部をPSA鑑定にかけてみた。
結果や画像はカード博物館にて。
β版の《Black Lotus》はいくつがつくのか楽しみだ。
ではまた。