店主の非日常その1
記事作成日:2018/10/05 執筆:加藤英宝
MTG展について。の続き。
前回のこらむを見ていなくても、全く問題はないけれども、
もし読んでいない人がいたらもしよかったら前回のこらむからどうぞ。
前回の最後で話した「奇跡」は、
お察しの良い方なら想像はついていると思う。
コレクターズアイテムの入手だ。
今回入手したものは複数。
1つ1つ紹介していきたい。
最初はこれ。
元祖のほうの
《ニコル・ボーラス/Nicol Bolas》
《パラディア=モルス/Palladia-Mors》
のアートプリント。
アートプリントとは、
原画からコピーをとったもの。
別な言い方ではリトグラフ。
その原画次第でどのぐらいのリトグラフが刷られるかは様々のようだが、
この2つは
《ニコル・ボーラス》:102/250
《パラディア=モルス》:178/250
の数字から250枚ずつのリトグラフが存在している事がわかる。
昔から大人気の《ニコル・ボーラス》のリトグラフが入手出来るとは思わなかった。
《パラディア=モルス》も昔ながらのファンタジーのドラゴンという感じで、
とても好きな絵だったのでこちらも嬉しい。
屈指のコレクターさんならば
「このくらい知っているよ。」
と言われてしまうかもしれないけれども、
店主はこれを入手するまで存在すら知らなかった。
このジグソーパズルの絵に選ばれたカードはどんな基準で選ばれたか、
カンのいい人や経験豊富な人ならわかるかもしれない。
このカード達はUnlimitedにはあるが、
Revisedには無いカード達。
ジグソーパズルの名前も、
「生き残れなかった者達。」
だそうだ。
《Cyclopean Tomb》にコストがあるので、
この絵はβがもとになっていると思われる。
(《Cyclopean Tomb》のα版はコスト部分が印刷ミスにより、
一切書かれていない状態になっている。)
それにしても、
この「生き残れなかった者達。」はパワー9が入っている事もあるが、
非常にかっこいい。
MTGの歴史を物語る素晴らしいジグソーパズルだ。
3つ目。
《セラの天使/Serra Angel》のコレクション。
画像をただ見るだけだと額縁に入れられた《セラの天使》がいっぱいなだけで、
別にそんなに大したコレクションじゃないなと思われるはず。
ほとんどの《セラの天使》にサインが入っているくらいで、
特に驚くほどのものでもないと思われる。
が、この《セラの天使》コレクションの真ん中部分はただの《セラの天使》ではない。
普通のコレクションをしているとまず出会う事がないのだが、
「βプルーフ」と呼ばれたりする品を知っている人はどのくらいいるのだろう。
正式名称は「コレクターズ・エディション・プルーフ」だそうだが、
βプルーフという呼び方のほうが聞いた回数が多い。
プレイヤーだけやっている人はそもそもプルーフという存在に馴染みが無いだろう。
ここではβプルーフで統一してお話を。
プルーフというものは
表面は普通のイラスト、
裏面は真っ白というカード。
GPなどでアーティストが来場してサインをしてくれる時に販売されている事がある。
プルーフは1種のカードにつき50枚しか作らないと言われているが、
必ずそうなのかと言われるとわからない。
ただ、一般的にはそう言われている。
裏側の真っ白部分にアーティストにイラストを書いてもらう事が出来るため、
プルーフをコレクションしている人もいる。
そして、このβプルーフというものはちょっと変わっていて、
コレクターズ・エディションやインターナショナル・エディションと同じで、角が直角。
だから正式名称がコレクターズ・エディション・プルーフなのだろう。
根本的にプルーフはコレクターズアイテムなので、
プレイヤーはそれほど興味を持たない。
加えて、このβプルーフは出回った時期というべきか、
作られた時期が最初期(1993年~1994年の間)なので、
普通の人はまずこのコレクターズアイテムに辿り着かない。
βプルーフは相当に貴重なアイテムで、
店主の長いMTG歴の中でも数える程しか見たことがない。
この額縁に入っている4枚の直角の《セラの天使》は全てβプルーフ。
もし50枚しか存在していないという情報が本当ならば、
現在自分の手元にβプルーフ《セラの天使》の10%がある事になる。
(1枚は大昔に買った。)
余談になるが、
《Black Lotus》のα版はこの世に約1500枚と言われている。
実際は失われてしまってこの数字以下になっているだろう。
そしてβプルーフの《Black Lotus》は50枚のはず。
単純な貴重さだけで言うとα版《Black Lotus》より見つけられない品である。
持っていたら結構な金額になる1枚だ。
この《セラの天使》コレクションはこれが全てではなく、
他にもいくつかの品があったが、
厳選したうえに、Rebecca版《セラの天使》を2枚入れて額に入れた。
この額に入らなかったものたちも相当な品があり、
多くのものはDogulas Shulerさんのサイン入りだ。
自分以外でここまでの《セラの天使》コレクションを持っていた人は初めて見た。
さて次に行こう。
これは結構な代物だと思う。
これはアリーナプロモと呼ばれるカード達のアンカットシート。
(正確にはアリーナプロモではないものもある。)
アンカットシートを見るのは初めてではないし、
アリーナプロモのアンカットシートを見るのも初めてではないが、
手に入れたのは初めて。
綺麗に断裁加工すれば本物になるだろうけれども、
さすがにこれを断裁する勇気も心も持ち合わせていない。
せっかく入手したのだから、
これはこれで飾っておきたい逸品だ。
そして驚くべきはこのアリーナ・アンカットシートは2枚ある。
ここまでに紹介した4点は少々前に入手した品。
これらは全て、ある人からのコレクションを引き継いだものだ。
そのある人とはミューさん。
のこらむにも登場した、
過去にカードショップを経営していた方。
MTG歴15年以上で、昔からコレクターをやっていた方なら、
かなりの人が知っているであろうショップのオーナーだったミューさん。
(お店の名前もミュー。)
先日、何年かぶりにお会いし、
「セラちゃんにならこのコレクションを譲る。
大切にしてね。」
というお言葉とともに、この4点、
なんと無料でお譲りしてくれたのだ。
「これからのCardshop Serraの発展を祈っているよ。」
とも言ってくれた。
自分のMTG歴がまだヒトケタ年数だった頃に知り合い、
沢山の情報をいただき、
いくつものコレクターズアイテムを買わせてもらった。
そして、
このミューさんはコレクターとしても目標の一人だった。
そんな目標とする方から
「他の人になら譲らないが、
セラちゃんになら譲る。」
という言葉までもらってカードを引き継げる事は心の底から嬉しかった。
しかもこんな貴重なものばかりを。
しかし、奇跡はこれだけでは終わらない。
続く→
店主の非日常その2