コレクター向けのカードについて。
記事作成日:2018/08/18 執筆:加藤英宝
ツイッター質問箱でこのような質問をいただいた。
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再録禁止のお値段が高騰著しいですが、サマー、ガーフィールドプロモ、テストプリントは
日本、世界ともに高騰しているのでしょうか?
日本のショップでは殆ど見かけなくなったので、ご教示お願い致します。
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まず、このテのカードはぶっとんだコレクターしか買わない。
ぶっとんだコレクターはだいたいにおいて
引退するだとか、不慮の事故や病気でどうしてもまとまったお金が必要だとか、
そういった理由でない限りはカードを手放さない。
通常カードと違って発行枚数が相当に限定されているカードは、
コレクターが手放さない→市場には出なくなる。
市場に出なくなる→希少価値が高くなる。
希少価値が高くなる→価格が上がる。
という連鎖が起きやすい。
質問にあるように高騰しているのかと言えば、
全くしていないという事はない。
価格というもの基本的には需要と供給によって決まる。
こういうカードは希少度が異様に高いので、
値段は安いと言える数字にはならないことがほとんど。
反面、トーナメントで必須アイテムではないので、
特定の需要のみが存在している。
値段の高騰の話題と少しだけズレてしまうが、
これらのカードへの解説を少々。
サマー:基本的には印刷が少し違っている、発行枚数が少ないというだけで、
ただの再販のRevised。つまり、トーナメントに出たいだけなら、
Revised版かそれ以降でも再販されているカードを買えば良い。
買う人はレガシー、ヴィンテージでこういうカードを使いたい人、
または完全にコレクション。
ショップ視点では、
取扱出来るショップは少ない。
専門ショップが高額の買取を提示しないといけないうえに、
それでも出てくるかどうかすらわからない。
かといって、買取で来たところで、
すぐに誰かが飛びついてくれるような品とも言えないので、
結構厄介な代物。
これがレアとなるとさらに買取金額、販売金額、入手難度ともに高く、
そして売れるかどうかの難易度も高くなる。
あると「こんなものを扱えるショップ。」という事にはなるが、
反面、資金を凍結されがちなアイテム。
ガーフィールドプロモ:完全にコレクターズアイテム。
トーナメントでは一切使えないので、競技志向の人には不要。
以前にも屈指のコレクターの条件のこらむでも書いているが、
発行された枚数=市場に出回る数ではないので、
非常に入手が困難。
所有しているWotC社員(または元社員)か、
過去に購入した人が手放してくれないと全く市場には出てこない。
ショップ視点では、
サマー同様、取扱出来るショップは少ない。
素人のショップやアルバイトが多いと、
そもそもこのカードが何なのかわからないという場合も。
サマーのカードよりもこのガーフィールドプロモの取扱があるほうが、
お店としてはハクがつく。
再録禁止リストに入っていないカードではあるが、
WotC社に異常な事が起きない限り再録などありえないカード。
テストプリントカード:存在があやふやで一般人にはわからないコレクターズアイテム。
《裏切り者の都/City of Traitors》や《適者生存/Survival of the Fittest》のFOIL、
カードのデザインが変更されている《火山の鎚/Volcanic Hammer》や《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》、
色々な種類が存在している事は知っているものの、
根本的には出どころを含めてあまりにも怪しい。
裏面がMTGのロゴではなく真っ白という事もある。
特に昨今は偽物が横行しているため、
下手をすれば、こういうテストプリントも偽物を作って、
「これはテストプリントだ。だから貴重だ。本物だぞ。」
などという事を言い出されたら、騙されてしまう人もいるだろう。
大半のカードはトーナメントでも使えないので、
これまた一般人にはどうでもいいカードだろう。
個人的には、
「これらに手を出すよりパワー9を1枚買ったほうが建設的。」
と思っている。
このレベルのカードを買う人はパワー9くらいだいたい持っていそうだが。
ショップ視点としてはCardshop Serraであろうとも、
このレベルのカードはあまり扱わない。
そもそも売りに来る人もいなそうだが、
あやふやで出どころがしっかりとしていないアイテムは、
あまり取扱すべきではない。
《Mox Crystal》や《Robot Chicken》といったカードも話題にのぼる事があるが、
存在が完全に確定していると言えないカードは取扱としては危ない。
買取をしようなんて考えを起こしていたらお店の信用に関わるだろう。
コレクターにとって、
「希少度の高いものを所有することはステータス」
と考えるのは普通の事なので、
サマー、ガーフィールドプロモ、テストプリントのどれも、
高いお金を払って買う人は少数であろうとも必ずいる。
けれども、
高いお金を払って存在があやふや、偽物かもしれないアイテムを買う事は危険だ。
コレクションというものは王道を行く事は最重要。
その視点から考えると、
サマー:存在は確実な品であり、
偽物かどうかは判別しやすいので安全にコレクション可能。
PSA鑑定も出来るくらいに認知されている。
1枚くらい持ってみようかな?と思う人にも、
コモン程度ならなんとか買えるラインにある。
現状の店主の経験では偽物は見たことがない。
おそらく作るメリットが他よりも無いからだと思われる。
ガーフィールドプロモ:これも存在は確実。
ただし入手難度は高い。
どうしても欲しい人は信用のあるお店に直接依頼するほうが良い。
注意点としてはこのカードについては偽物がある。
店主が実際に見たことがある。
偽物を作った人は、
「こういう珍品は本物と偽物に区別がつきにくいだろ。」
という思考で作ったのではないかと思う。
ただ、
「珍品過ぎて現金化が難しい。」
という思考にはならなかったようだ。
なお、ガーフィールドプロモはPSA鑑定可能。
PSA鑑定可能というところからも安全なコレクション範囲。
テストプリント:存在があやふやなものもあれば、
確実に存在はしているものもある。
公式というものからは外れる。
当たり前なのだが、どのテストプリントカードもPSA鑑定一切不可。
存在するかどうか不明なアイテムを売りつけられたら、
絶対に買うべきではないと思ったほうが良い。
特に偽物が横行する昨今ではリスクが高い。
一般人がオリジナルカードで刷って、
「これはこういうものなんだ!」
なんて事すら出来るような時代なので、
出どころがハッキリしないものは手を出さないが吉。
話題からはそれるがついでに書いておこう。
ミドルエイジ:一度は公式が認めたカードセット。
認めた後に回収と破棄を命令されているが。
裏がMTGのカードではないけれども、
存在を含めて公式が認めているというところがポイント。
テストプリントよりもコレクションする価値があると言える。
ただし、現状残念ながらPSA鑑定出来ない。
とはいえ、カードセットに何があるかはハッキリしているので、
今後鑑定される可能性は無いとは言い切れない。
存在があやふやという事も無いので、
ディープなコレクターならばこのラインは収集の選択肢として面白い。
エッジ・オブ・ザ・ワールド:これも一度は公式が認めたカードセット。
これまた認めた後に回収と破棄を命令されている。
こちらはミドルエイジより質の悪いもので、
必ずなんらかのMTGのカードに貼り付けされているシールみたいなもの。
印刷もミドルエイジはカラーなのだが、
エッジ・オブ・ザ・ワールドは白黒印刷。
存在を公式が認めてくれているだけの品だが、
こっちよりミドルエイジのコレクションをオススメしたい。
エッジ・オブ・ザ・ワールドはカードに貼り付けされているため、
PSA鑑定される日は来ないだろう。
ちなみに扱っているショップなど世界中でもほとんど無いはず。
店主以外で持っている人を一桁人数しか見たことがない。
ざっとまとめると、
コレクションオススメ度は、
(5段階評価で★5が一番オススメ、価格や入手難易度は無視。)
サマー:★4
ガーフィールドプロモ:★5
テストプリント:★1
ミドルエイジ:★3
エッジ・オブ・ザ・ワールド:★2
こんなところ。
高いカードを買う事は構わなくても、
高い授業料を払いたい人はいない。
高騰してしまい、
「もっと高騰してしまう前に買わないと!」
と思う気持ちは非常に理解出来るものの、
危ないものには手を出さないように。
困った時、わからない時はCardshop Serraにご相談を。
ではまた。