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おかえりランドの必要性

記事作成日:2018/05/06 執筆:加藤英宝

ツイッター質問箱でこのような質問をいただいた。

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ゴルガリ腐敗農場などのラヴニカのブーメランドについて、
EDHにおけるメリット&デメリットはどういったところでしょうか?
周りで多用している人もいれば、
全く使わないという人もいる感じがするので・・・
2色でデッキを組む場合はなるべく入れた方がいいんでしょうか?

———————

という質問。

質問が2つある事、
回答するに文字制限に引っかかってしまう事、
過去にも似た質問がメールや直接で複数回あった事から、
この質問の回答はこらむに。

質問者の方の言っているブーメランドというものは、

Izzet Boilerworks
Izzet Boilerworks/イゼットの煮沸場
土地
イゼットの煮沸場はタップ状態で戦場に出る。
イゼットの煮沸場が戦場に出たとき、
あなたがコントロールする土地を1つ、オーナーの手札に戻す。
(T):あなたのマナ・プールに(青)(赤)を加える。
コモン

ラヴニカのブロックに出てきた、
1つの土地で2マナ出せるが、
タップ状態で出る事と、
場に出した時に土地を1枚戻さなければならないというデメリットを持つランドシリーズ。
(この土地以外に戻す土地が無いなら当然、自身を戻さないとならない。)
2色のすべての組み合わせで存在しているので10種類ある。
ビジョンズのセットにはこれの下位互換が存在している。

ラヴニカの方:戻す土地はタップ状態でも良い。
ビジョンズの方:戻す土地はアンタップ状態でなければならない。そうでないと自身生け贄。
ラヴニカの方:2種類の色マナが1つずつの計2マナが出る。
ビジョンズの方:各色+無色の計2マナが出る。
両方ともタップイン。

という大きな違いがある。
ラヴニカの10種は使いやすくなっている点で上位互換。

質問者の方は、ブーメランドと呼んでいるが、

・バウンスランド
・おかえりランド

とも呼ばれる。
店主は言いやすいので「おかえりランド」と呼んでいる。

これのEDHにおけるデメリット、メリット、必要性、
1つ1つ書いてみよう。

まずデメリットから。

一例を考えてみよう。
条件は、

・マリガンをしていない。
・1ターン目に土地セット以外何も動いていない。

のみ。
ここから2ターン目におかえりランドをセットすると、
当然1ターン目に置いた土地を戻す。
すると、
3ターン目には戻した土地セットから3マナまでは出るのがわかる。
ただし、手札が動いていない場合、
2ターン目終了時に手札は8枚。
1枚捨てなければならない。
アドバンテージの損失だ。
1枚の土地で2マナが出るという能力があっても、
2ターン目まで何もせず、は出遅れが生じ、
さらに手札が1枚減るのであれば、
これは痛い。

1~2ターン目にパーマネント展開があれば、
アドバンテージの損失は防げる。
それでも動き始めると言えるのは3ターン目になる事は変わらない。
この動き始めが3ターン目になるというものは、
デッキ次第では完全に出遅れる事になり、
高速なデッキ相手では致命的な遅さになるのは間違いない。

これ以外のデメリットはそれほど無い。
3色~5色デッキで複数枚採用していたら、
「このランドしか手札に無いとマリガンするしかない。」
という事くらいか。

あとは2マナ出る土地や《繁茂/Wild Growth》などをつけた土地の宿命で、
不毛の大地/Wasteland》や《露天鉱床/Strip Mine》で壊されると大打撃。

次にメリット。

初手に

・基本土地
・おかえりランド
・1マナでプレイ出来るパーマネントカード1枚
・その他土地でないカード4枚

という手札でギリギリキープ可能である事。

1ターン目、基本土地+1マナカードをプレイ。
2ターン目、何か動けたら動き、無ければおかえりランドセットして基本土地を戻す。
3ターン目、戻した基本土地セット。

という感じに、3ターン目までの動きが確定し、
土地カードが2枚しかないにもかかわらず、
最低でも3ターン目に3マナが見えている。
ドロー・ステップのドローなども考えれば、
4ターン目以降の動きがこれでストップする事は少ないはずだ。
これで頻繁にストップするのであれば、
構築内容が重たいか、土地比率の見直しが必要である。

早いと言える動きではないものの、
3ターン目までのこういった安定が初手で見える場合、
「事故を起こしている状態よりはマシ」
という視点であればこれはメリット。

何よりも戻す土地がタップ状態でも構わないという条件があるので、
使った土地を戻す分にはタップインする速度低下は軽減される。

他にもメリットはいくつかある。

野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker
ラル・ザレック/Ral Zarek
旅するサテュロス/Voyaging Satyr
Candelabra of Tawnos
時間の大魔道士、テフェリー/Teferi, Temporal Archmage
大あわての捜索/Frantic Search
時のらせん/Time Spiral

などの土地をアンタップする能力との相性の良さ。
マナブーストカードがさらにブーストされるメリットは大きい。
ちなみに《マナの反射/Mana Reflection》を置いてあると4マナ出る。
最初の速度低下を乗り越えれば、
1枚の土地で2マナ出せる強みを活かすことができ、
状況を好転させてくれる。

また、

冬の宝珠/Winter Orb
塵を飲み込むもの、放粉痢/Hokori, Dust Drinker
水位の上昇/Rising Waters

などの土地を縛るカード相手にも少々耐性がある。
自分で
ハルマゲドン/Armageddon
ジョークルホープス/Jokulhaups
燎原の火/Wildfire
破壊的な力/Destructive Force
などを撃つ場合でも、
メリットを生む事がある。

ハルマゲドン》を撃つ1ターン前におかえりランドをセットし、
次のターンに、セットランドせずに出せるマナが最大4だったとしたら、
そこで《ハルマゲドン》→セットランドと出来る。
1マナしか出ないランドだけの場合、
(つまり、おかえりランドが普通の土地だと想定した場合)
ランドを置いてからでないと《ハルマゲドン》が撃てない。

燎原の火》や《破壊的な力》の場合は置いてある土地枚数次第。
土地を戻した事で助かる場合が1つ。
土地コントロール枚数が
燎原の火》の時で5枚以上、
破壊的な力》の時で6枚以上の場合は、
残すランドにおかえりランドを選ぶと強い。

展開の遅れとアドバンテージが、メリット・デメリットどちらにも傾く話が、
おかえりランドにはいくつもある。

デメリットとメリットはこんなところ。

2つ目の質問の「2色でデッキを組む場合」への回答も。

2色も対抗色、有効色、ジェネラルの能力、コスト、
それとデッキ内のカードのコストによって、
向き不向きが多少ある。
緑がらみで土地サーチ呪文が多い場合だと、
おかえりランドがそれほどきつくない事もある。
例えば、《不屈の自然/Rampant Growth》を撃って、
タップインした土地をそのままおかえりランドセットで戻しても、
速度は落ちないどころか次のターンのマナ数を考えれば相当有利だ。
緑では、
踏査/Exploration
むら気な長剣歯/Wayward Swordtooth
迷える探求者、梓/Azusa, Lost but Seeking
などでも、おかえりランドの土地を戻す遅れを軽減可能。

全色共通の話では、
指定コストが多いカードが多く採用されていると、
2色2マナが出る事が大きくなる事もある。
わかりやすい指定コストの例では、
火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemind
怒りの座、オムナス/Omnath, Locus of Rage
暴動の長、ラクドス/Rakdos, Lord of Riots
ゴルガリの死者の王、ジャラド/Jarad, Golgari Lich Lord
など。
指定コストが多く、マナコストも重めなので、
おかえりランドをセットするターンがあっても、
自身の動きとして問題が無い状況もありえる。

また、
怒りの座、オムナス》は上陸能力もあるので、
こういったジェネラルの場合、
おかえりランドで土地を戻せる事がメリットに働く。
上陸能力の場合、
おかえりランド自身を戻し続けるという選択もある。

また多色土地、特に、
フェッチランド
デュアルランド
ギルドランド
ダメージランド
M10ランド
フィルターランド
などの優秀なレア土地系を持っていない場合は、
必ず採用でも良いと思うくらい。

MTGにかけられる、またはかけてきた時間とお金は、
人それぞれでかなりの差になる事もある。
なので、
こういった土地を持っていない人は、
おかえりランドはお安く入手可能で、
なおかつ使い物になるくらいの優秀さは持っている。
スピードをとにかく重視すると、
どうしてもタップインを嫌う傾向になってしまうが、
そこまでのスピードで無い限りは、
おかえりランドは結構強い部類に入るカードである。

なにせ、おかえりランドは、
一番最初にこのカードが出た頃、
スタンダードでもトーナメントカードになるくらいだったのだ。
スタンダードとEDHは全く世界は違うけれども、
トーナメントで採用されるほどという意味で、
「このカードが決して弱いカードではない。」
という認識で間違いない。

最終的な要不要は、
自身のデッキの色とコスト、
ジェネラルの色指定とコスト、
自身の資産とお財布次第という事になるが、
店主自身が今まで使ってきた経験で言えば、
「これがあったから遅れをとって負けた。」
という程弱い事はあまり無かった。

メリットデメリット、どちらの面も見つつ、
2色デッキで速度重視でないのなら、
一度はデッキに入れてみて、
試してみることでの使用感から、
抜くか継続かを決めるのが最善ではないかと。

この回答が質問者の方の参考になってくれればと思いつつ、
今日はこのあたりでおしまい。

ではまた。



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